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撮影報告 その147 秋のすぎな農園 その1

2012年10月8日。

7:00起床。

外はピーカン。

山の上の鶏舎での水や餌やりなど、進さんの朝仕事を撮影させてもらう。

 

一輪車に水のタンクを載せ、緑のトンネルをくぐって鶏舎に運んでゆく。

去年も撮ったが、もう一度撮りたいと思っていた。

 

その細い道は通りにくくなったため、去年と違う道になっていた。

鶏舎を挟んで反対側に道が出来ていた。

今年も熊が出ているので、進さんはクマよけの鈴を腰に巻き、一輪車で水を運んでゆく。

すぎな農園の畑や田んぼはどこも気持ちのいいところにある。

ここは一番高い場所にあって、ことの他気分がいい。

 

朝露に濡れた葉っぱが陽に照らされて美しい。

目を上げると山々がくっきりとそびえている。

進さんが仕事を終えてからも、私は一人、撮影を続けた。

 

すると少しもよおしてきた。

どうしようかなと思ったが、周りにはよさげな葉っぱもたくさんはえている。

早速昨日の講演会で学んだことを実践した。

大きい葉っぱに、肌触りのいい葉っぱを重ねて使った。

最後に、枝を三本立てて印をつけた。

 

後で竹渕さんに言うと、

「早速の実践、井沢さん喜ぶだろうね。経過観察はしておこうか?」

と言って笑った。

 

家に帰り、智子さんの仕事を撮影。

ヤギのマキバの小屋の掃除、犬のネラのブラッシング。

そして昼の採卵。

智子さんの採卵に初めて同行した。

一日に3回卵をとるのだそうだ。

昼ごはんの後。

進さんが作詞、智子さん作曲の「マザー・アース」を庭で収録。

進さんがギターをひき、智子さんが歌った。

今の進さんと智子さんの気持ちが現れていた。

 

夕方。

智子さんがネラの散歩に行くので、私もついていった。

家の周りをぐるっと一周。

なかなかいい散歩コースだった。

智子さんは他の家の犬に声をかけたりしながら、ネラと歩く。

家に戻ってまたブラッシング。

ネラは智子さんにしか心を許していないようで、

他の人が近づくと、グルグルと歩き回り落ち着かなくなる。

 

夕食。

食べながら3人で色々な話をした。

「去年は怒りの感情が大きかったけど、今年は申し訳ないという感情が大きくなった。

子どもや、これから生まれてくる子たちに対してね。それが去年と今年の大きな違いかな。」

と竹渕さんが言った。

[…]

撮影報告 その146 井沢正名さん講演会 「くうねるのぐそ」

糞土師・井沢正名さん。

 

2012年10月7日。

あっという間にもう講演の時間が近づいてきた。

店仕舞いをして、今度は中医研の2階で講演会の準備にかかる。

30人ほどが集まり、なかなか盛況になった。

子供たちはトランポリンで大はしゃぎ。

 

岩田さんとこうきちゃん。

 

岩田さん、伊藤さん、小松かおりさんも参加。

竹渕進さん。

 

竹渕さんの司会で講演会が始まった。

未来にちにち堂

は3.11後に竹渕さんが中心になって立ち上げた会。

原発に依存しない社会は、

身の丈の暮らしと、自然の循環を大切にした手作り・自給・自律・相互扶助の社会と考え、

勉強会を開催したり、具体的なかたちを提案したりしている。

その具体的な形が、にちにち堂カフェ。

ひとが、ひとの手で、ものを作る、そこにひとが集う、

そのありふれたことを提案し、実践していく。

それこそが実は「脱・原発」だと考えている。

 

伊沢さんはとてもすっきりした顔をした方だった。

キノコの写真家だった。

竹渕さんの家にあったキノコ図鑑を見てみると、井沢さんの名前があった。

 

井沢さんはある時、キノコのしていることのすごさ、素晴らしさに感じるところがあり、写真家をやめた。

今は糞土師として講演活動をしている。

井沢さんのお話は実におもしろかった。

生きる基本は食べて出すこと。

菌類は動植物の死骸やウンコを食べ、CO2や土中の養分になるウンコをする。

植物は菌類のウンコを食べて有機物を作り、酸素というウンコをする。

動物は植物の体と、そのウンコである酸素を食べ正真正銘のウンコをする。

 

 

私たちは生きるために自然の中で育まれた多くの生き物を食物として食べている。

そして毎日ウンコを出し続けている。

ウンコ=人糞は人にとっては不要なカスでも、他の生き物にとっては大切な食べ物、ご馳走で、

命の源として自然の中で循環し続ける。

ウンコは人が自然に返すことができる唯一のモノ。

[…]

撮影報告 その145 朝市 in 高崎

2012年10月7日。

8:30頃起床。

竹渕さんはいつものように鶏の世話と採卵の仕事。

智子さんも家事仕事。

 

薄曇り。

昨日とうって変わって寒い。

今日は、中医研でふれあい朝市。

そして午後からは未来にちにち堂主催の井沢さんの講演会・「くうねるのぐそ」。

 

朝食を食べ、10時過ぎに竹渕さんの車で3人で高崎に向かう。

中医研に到着すると、建物の前に建っている大きな木のまわりに、

いくつも出店していてにぎやかだった。

農カフェの岩田さんも家族できていた。

夫のタダオさんは店の脇でロケットストーブのワークショップをしていた。

岩田さんは相変わらず明るくパワフル。

ゆかりちゃんは去年より背が伸びていて大きくなっていたが、

相変わらずやんちゃで、他の子たちと走り回って遊んでいた。

いつの間にか家族も一人増えていた。

コウキちゃんという男の子。

色んな人にだっこされてかわいがられていた。

竹渕さんたちすぎな農園も、農カフェの隣に店を出した。

 

会場をくるっと歩くと、どれもおいしそうなものばかりで、全部食べたくなって困った。

 

トガシさんの野菜スープを買っておしゃべり。

鈴木酒店でも久しぶりにおしゃべり。

ノンアルコールのオーガニックビールをいただき飲んでみるとおいしかった。

なんかほろ酔い気分になってきた。

去年は鈴木君がやっていた店・「森の音」は、市民測定所・クラシルになっていた。

食品を売ったりコーヒーも飲めたり、ここで色んな会やワークショップもしているそうだ。

やはり今もみんなの拠点になっている。

 

中をのぞくと、甲田くん、ゆうこちゃん夫婦が、講演会に時にお客さんに渡すチラシセットを手分けしてつくっていた。

私も上がって、久しぶりにおしゃべりした。

 

甲田君がコーヒーを入れてくれるというので、あわたまのティラミスを買いに行った。

 

お日様が出てきて、暑くなってきた。

食べたり飲んだり、おしゃべりしたり、みんなそれぞれに楽しんでいる。

開放的で自由でゆるい。

こうしてこういう空間があること、なんだかことさら貴重に感じる。

 

つづく

 

[…]

撮影報告 その144 すぎな農園へ 群馬県高崎市・倉渕 

2012年10月5日。 去年の9月末から10月上旬にかけて群馬県高崎市を訪ねた。

「空想の森」を上映してくれた、竹渕さん、岩田さんたちに話を聞きに行った。

あれから1年がたった。

2012年になり、竹渕さんを中心にみんなで市民測定所「クラシル」を開設したと知らせがきた。

そして私は再び彼らを訪ねたいと思った。

 

苫小牧東港から新潟行きのフェリーに乗る。

19:30 出航。

まずお風呂に入ってあたたまった。

昨日あたりから、冷え込んできた。

陽もすっかり短くなってきている。

 

玄米おにぎりとお茶、そして山田農場のチーズを持参したので、

晩御飯と翌日の朝食は買わなくてすんだ。

 

2012年10月6日。

曇り。

窓から山が見えた。

山形県沖だろうか。

今後の撮影の予定を組み、アポをとったり事務仕事をする。

15:30 新潟港に到着。

 

 

 

20:00過ぎ。

竹渕家に到着。

あたたかかった。

途中、カーナビが壊れて難儀した。

 

竹渕さん、智子さんはとても元気だった。

「里帰りみたいでいいね。」

と竹渕さん。

お風呂に入ってさっぱりしてから三人で夕食を囲んだ。

 

私の群馬での撮影予定もざっくりと決めた。

明日8日は、中医研(高崎市)で朝市。

それから、15:00から未来にちにち堂主催の伊沢正名さんの講演会。

私もこれに参加することにした。

ここに行けばみんな来ているので、直接話して撮影の日程が決められる。

キャメラを持たずに行くので、大いに楽しもう。

 

「実は今日はお祝いの日なんです。」

と竹渕さん。

去年、数値が高めだった田んぼの米を今年も測り、

その結果の数値がものすごく下がっていたことが今日わかったのだった。

とても嬉しそうだった。

田んぼの水を変えたり、ゼオライトを入れたり、カリウムを入れたり、

[…]

撮影報告 その143 秋の山田農場にて

こなひき小屋

2012年10月1日。

2日間お世話になった親方の家を後にしてこなひこ小屋へ。

パンを買う。

それから山田農場へ向かった。

城岱牧場を通った。

山越えの道で冬季閉鎖になる。

 

 

函館の町が素晴らしくきれいに見えた。

車を止めて、道すがら3か所で撮影をした。

ああ、3.11後、この函館でどれだけ濃密な時間を過ごしたのだろうか。

 

昼前に山田農所に到着。

キラキラしていた。

 

メイの子どものサン。

 

畜舎の前で、サンが気持ちよさそうに太陽の光をあびながら寝そべっていた。

この子がメイの子供。

ついこの前生まれたばかりのメスの子牛。

とってもかわいい。

何でも、メイは林の中でサンを産み、近くの崖からサンが転落。

林の中でモウモウと鳴いているメイ。

炭のバイトから帰ってきた圭介が崖の下に行ってみるとサンがいた。

サンをかついで道の方にぐるっと回り込み運び込み、サンは無事保護された。

そしてあゆみちゃんはこの子はウチの子にしようと圭介に懇願したそうだ。

 

 

福島で酪農をやっていた人で避難をしている人が、つい最近山田牧場で数日間いっしょに働いたそうだ。

その話をあゆみちゃんがひとしきりしてくれた。

とてもいい出会いだったそうだ。

 

福島の人に北海道の野菜を送る活動も順調にできているそうだ。

仲間といっしょに心のこもった支援を着実にしているあゆみちゃんが大きく見えた。

お昼ごはんを、いっしょにごちそうになった。

 

 

チーズを買って山田農場を後にした。

 

世の中は動いていく。

私たちも変化していく。

食べ物をつくり、暮らしに関わることは人任せにせず自分でやり、

お金が少しでも生きていく技術を持ったあゆみちゃんと圭介さんの暮らし方は、

私には光り輝いて見える。

[…]