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撮影報告 その158 雁屋哲さん講演会

雁屋哲さん。

2012年10月23日。

磨光小学校での土居さんの食育授業に引き続いて、南茅部公民館で雁屋さんの講演会。

私は先に公民館へ入り、機材を運び込みセッティングをした。

講演時間が近づくにつれ、続々と人が集まってきた。

昆布漁の撮影でお世話になった吉村良一さんもやってきた。

150人ほどの人が参加。

 

雁屋さん夫妻、そしてこんぶ土居さんの御一行が入場して、司会者に紹介された。

 

こんぶ土居三代目・土居成吉さん。

そしてまず3代目がこの講演会を開催する経緯など話をした。

30数年前から、3代目は川汲地区を訪ね、質のよい昆布をつくるために昆布漁師さんと関係を築き、

その縁から漁協や地元小学校の子どもたちと交流をつづけてきて15年になる。

今回は一つの区切りとして、3代目と親交のある「美味しんぼ」の原作者・雁屋哲さんをお招きして南茅部で講演会を開くことになった。

 

雁屋さんの声がまた素敵だった。

材や食べ物を色々なところに取材に行った時の話、 美味しんぼの話など、とても面白かった。

きちんとつくられたものを、普通に食べることが非常に難しい今。

その食材をつくる人がいて、私たちは初めて食べることができる。

改めて食べることの大事さを思わされた。

 

会の終わりに土居さんが閉めの挨拶をした。

小5の時、土居さんの食育授業を受け、その後の作文で「漁師になる」と書いた、カワバタくんが来ていた。

彼は今南茅部高校の3年生。

彼のじいちゃんがつくった昆布を雁屋さんにプレゼントした。

その昆布は昆布のヒモでくくられていた。

土居さんの見事な演出だった。

 

そして土居さんは話を続けた。

「私は昆布漁師の人たちに幸せになってもらいたい。幸せには色々な形があって、お金がそれほどなくても幸せに暮らしていけることを描いている空想の森という映画があるんです。その映画をぜひここで上映しましょう。そこで撮影しているのが監督の田代さんです。一言どうぞ。」

と、三代目が言った。

私はファインダーをのぞきながら少しびっくりした。

そして撮影を中断して、ご挨拶をさせていただいた。

 

最後に質問コーナーもあり、盛況のうちに講演が終わった。

三代目もホッとした表情をしていた。

私は吉村さんを車にのせて、一緒にひろめ荘へ向かった。

雁屋さんご夫妻、下倉さん、吉村さん、土居さん一家、地元の校長先生たち3人でひろめ荘で夕食。

みんなでおいしく食事をいただいた。

吉村さんのこんぶの話、雁屋さんの話もまた聞けてとても楽しかった。

雁屋さんは気さくで明るくとても素敵だった。

 

四代目の純一さんは明日、大阪の店に南茅部高校の生徒が修学旅行で訪ねてくるので、今日は千歳空港まで行かなくてはいけなかった。

20:00過ぎ。

下倉さんの車に、雁屋さんご夫妻と純一さんが乗り込み札幌へ向かった。

 

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撮影報告 その157 こんぶ土居 三代目の食育授業

こんぶ土居 三代目 土居成吉さん

2012年10月23日。

七飯町から海沿いの道を通り、川汲の磨小学校へ向かう。

小学校に到着すると、須田教頭先生が出迎えてくれ、機材を運びこんでくれた。

明るい開放的な建物にまず驚いた。

「こんにちはー!」

と、そしてすれ違う子供たちが私に元気にあいさつをしてくれた。

なんだかそれだけで嬉しくなってきた。

 

校長室に入ると、こんぶ土居三代目の成吉さんとお連れ合い、四代目の純一さん、そして「美味しんぼ」の原作者の雁屋哲ご夫妻が、白幡校長先生が歓談していた。

三代目が私をみんなに紹介してくれて、私もご挨拶をした。

 

校長室の壁には、写真や新聞記事などの土居さんと磨光小学校の交流の歴史が飾られていた。

下倉孝さん

札幌から下倉孝商店(魚屋さん)の下倉さんもやってきた。

下倉さんは前に土居さんの授業に参加したことがあるそうだ。

今回の土居さんの食育授業は、15回目のくぎりとご本人は位置づけている。

その節目に私も参加させていただいて嬉しい限りだ。

 

お昼の時間になり、私たちもそろって給食をいただいた。

私は早速キャメラを回し始めた。

「こんな給食だったら毎日でもいいですね。」

と雁屋さんが言った。

 

校長先生いわく、函館市の給食は添加物や保存料を一切使わず、ほとんど地元の食材でつくっているそうだ。

ご飯もおいしかったし、おかずも薄味でおいしかった。

 

私は一足先に土居さんの授業が行われる家庭科室に入って、撮影の準備をした。

子どもたちが掃除をしていた。

子どもたちに土居さんの授業を受けるのか聞いてみた。

毎年5年生が土居さんの授業を受けるとのこと。

私が聞いた子は4年生だった。

時間になり、三代目ご夫妻、純一さん、雁屋さんご夫妻、下倉さんが教室に入ってきた。

いつもお連れ合いと二人でこの授業をしていたのだそうだ。

雁屋哲ご夫妻。

 

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撮影報告 その156 道南へ

2012年10月22日。

風邪が治りかけでまだ本調子でない。

玄米を弁当箱につめ、海苔と塩、お茶を持って道南へ向かう。

 

今回は、函館市磨光小学校で、大阪のこんぶ土居の3代目・土居成吉さんの食育授業、

そして「美味しんぼ」の原作者・雁屋哲さんの講演会の撮影だ。

土居さんとは去年の12月に出会った。

去年の夏、4代目・土居純一さんが山田農場と大間原発を訪れたことを聞いて、ぜひ会ってお話をお聞きしたいと思い、

師走に大阪のこんぶ土居を訪れたことがご縁になった。

昆布に関してはもちろん、食べることに対しての真摯な姿勢がとても心に残った。

 

3代目は30年数年前から川汲地区の昆布漁師さんたちと親しい関係を結んできた。

漁協や地元の小学校の子どもたちと交流を続けている。

土居さんはどんな授業をするのか、そして雁屋先生はどんな人なのか、ワクワクする。

ペコちゃん。 前よりずいぶん元気になっていた。 抱き上げると、とても軽かった。

今日は七飯の親方の家に泊めてもらい、明日、川汲へ向かう。

撮影報告 その155 すぎな農園から新潟港へ

2012年10月15日。

6:00 窓から朝日が差し込んできた。 いい天気だ。 着替えてキャメラを持って、朝の倉渕の撮影に出た。 裏の山の方へいって、三脚を立て、朝の倉渕を撮影。 群馬での撮影が全て終わった。 ああ、濃い毎日だった。 今回、すぎな農園をベースに9日間滞在した。 去年ここを訪れた時、私はこの映画に対して腹が据わった。 今年は、この映画で大事な要素になる一つが明確になった。 お昼頃、私はすぎな農園を後にして新潟港へ向かう。 竹渕さんと智子さんが、中之条でいっしょにランチを食べようと誘ってくれた。 竹渕さんの車の後ろについて私は出発した。 倉渕から新潟方面へ小一時間ほどいったところ。 中之条のオシャレなカフェで三人でランチをした。 野菜がたっぷりでなかなかおいしかった。 店の前で二人と別れた。 そして私は新潟港を目指した。 道中、体が急にしんどくなってきた。 休み休みしながら、19:00頃港に到着。 出航までまだずいぶん時間があるので、居場所がないので町に出てみた。 シネウインド(新潟) シネウインドを偶然発見。 近くのパーキングに車を止め、映画館に入る。 20:00から「ヴィダルサスーン」をやっていたので観ることにした。 近くで蕎麦を食べてから映画館に戻った。 新潟港 22:45 乗船。 お風呂に入ってバタンキューで寝た。 2012年10月16日。 体調が思わしくない。 下船までほとんど寝ていた。 昼過ぎ、津軽海峡大間沖。 建設工事が再開された大間原発がよく見えた。 反対側を見ると、函館が見える。 フェリーから見た大間原発。 フェリーから見た函館。 17:30 苫小牧東港。 車を走らせ、晩に無事十勝に到着。 […]

撮影報告 その154 竹渕進さん・智子さん すぎな農園 その4

2012年10月14日。曇り。

朝起きると、少し喉が痛かった。

智子さんにテルミーを借りて、全身テルミ―をかける。

 

 

今日は夜に竹渕夫妻のインタビューをする。

すでにいっしょに過ごす中で話をしてきているが、

改めてこの一年のこと、クラシルのことなどをお聞きしようと思う。

昼ごはん。

日中は事務仕事をしたり、二階の窓辺でのんびりしたり・・・。

晩ごはん前、インタビュー。

去年は怒りの感情が大きかったが、今年は子供と次の世代に対して申し訳ないという気持ちが大きくなってきた。

と竹渕さん。

大変だったけど、クラシルを立ち上げてよかったこと。

ここでこれからもやっていけると希望を持てたこと。

3.11で人とのつながりが深くなったこと。

二人は今の気持ちを話してくれた。

 

この一年、本当に大変な思いをしてきたと思う。

私は想像するしかない。

未来にちにち堂を立ち上げ、クラシルを立ち上げ、ここで暮らしていくために、前を見て歩いてきた竹渕さん夫婦。

一人ではなく、いっしょに歩く仲間がいる。

 

群馬に竹渕さんがいる。

そのことだけで私は心強くなる。

 

インタビューを終えた。

「終わった―!」

今回の群馬での撮影の全てを終えた。

そして私は竹渕家での最後の晩餐を楽しんだ。