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撮影報告 その128 昆布漁 道南・南茅部・川汲 その2

 

2012年7月26日(木)

3:30 起床。

辺りはまだ暗いが、天気は悪くなさそうだ。

3:40 車に荷物を積んでいたら、純一さんもやってきた。

2台で港に向かう。

 

 

途中、濃霧で私は方向が分からなくなる。

純一さんに先頭を走ってもらう。

 

4:00 吉村さんの自宅に車を置かせてもらい、作業小屋へ。

今日は天然昆布漁だが、漁の開始時間が30分遅れて5時半からとのこと。

私は船に乗れなくて残念だが、昨日撮りそこなった港に帰ってくるところと、

昆布をトラックに積むところをしっかり狙おう。

 

今日もトラックの荷台にのっけてもらい港へ向かう。

今日は、吉村さん、奥さん、娘さん、純一さんの4人体制。

霧の中を出港していった。

真っ白なので何も見えない。

私は一度宿に戻った。

さっと風呂に入り、少し休んだ。

 

7:00 再び港に向かう。

霧が晴れていい天気になっていた。

吉村さんが昨日漁をしたというポイントの辺りに行ってみる。

今日もそのあたりで漁をするとのこと。

 

今日はたくさんの船が漁をしていた。

海沿いに立ち並んでいる家は、ほとんど漁師さんの家だ。

自分の敷地から船がすぐに出せるような作りになっている。

そこから私は吉村さんの船を探すが、あまりにたくさんの船で見つけられなかった。

この辺りは昨日大漁だったから、多くの船がひしめきあいながら漁をしているのだろう。

漁を眺めながら、こんな暮らしもあるんだなあと思った。

 

しばらく撮影していたら、また霧が立ち込めてきて、そのうち辺りは真っ白になった。

 

 

 

 

8:30 漁の終わりを告げる放送が流れた。

船が一斉に港に向けて走ってくる。

私は今度こそと、必ず吉村さんの船が通るところで待ち構えた。

純一さんを乗せた船がやってきた。

昨日ほどではないが、たくさんの昆布をのせていた。

網で獲った昆布をくくり、岸壁に待機していたクレーンで昆布を吊り上げ、トラックにのせた。

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撮影報告 その127 昆布漁 道南・南茅部・川汲 その1

川汲漁港

2012年7月25日(水)

3:40 起床。

まだ辺りは暗い。

天気予報ははずれ。

雨は降っていない。

今日は天然昆布の漁だと純一さんから電話がきた。

 

すぐ撮影できるよう支度をして吉村さんの海辺の作業場に向かう。

 

吉村さん、奥さん、二人の娘さん、そして純一さんがすでに漁の準備をしていた。

挨拶をして早速キャメラを回し始めた。

私もトラックの荷台に乗る込み、川汲みの港へ。

港はたくさんの漁師が船を出す準備をしていて活気があった。

 

道具をのせ、娘さん二人、純一さん、吉村さんの4人体制で出航。

 

その後、私は堤防から吉村さんの船を探すが、見つけられなかったので、近くで漁をしていた船を撮影した。

たくさんの船がすぐ近くで漁をしていた。

船を操作する人に指示を出したりして、獲る人がガラスメガネで海底の昆布を探す。

ここだと決めたところで、先が二股に分かれた長い竿を差し込む。

私が見ていた人は、けっこう深くまで竿を入れていた。

そして昆布を巻き取るようにクルクル回す。

そして船の上に引き揚げる。

3人目の人が、こんぶの根を素早く切り、根をそろえて船に並べていく。

私は堤防から興味深く漁を見ながら撮影をした。

天気はくもり。

暑すぎず寒くなく撮影にはちょうどよかった。

8時に終了の放送が流れると、漁をやめて船は一斉に港に向かって行った。

その様子を撮影してから私は堤防の先端に移動し、吉村さんの船を待ち構えた。

最後の一艘が港に入ってからもしばらく待ったが、もう船は来なかった。

 

 

港では大量の昆布をクレーンでつり上げてトラックの荷台に乗せている船もあった。

どうやら私の移動中に吉村さんの船は入港したようだ。

吉村さんの作業場に行ってみると、やはり総出で小屋に昆布をつるしていた。

吉村さん、奥さん、娘さん二人、手伝いの男性、そして純一さんの総勢6人。

「いやー、今までで一番の大漁だー。船が沈みそうだったよ。」

と吉村さんは興奮気味だった。

私が見てもすごい量の昆布だった。

ほんと、よく船にのっかったなと思う。

 

トラックの荷台から昆布をおろす。

[…]

撮影報告 その126 再会 こんぶ土居・純一さん

川汲の港にて。純一さん。

 

大阪のこんぶ屋さん・こんぶ土居の四代目の純一さんが昆布漁の手伝いに道南・川汲にくると聞いて撮影させていただくことにした。

 

こんぶ土居では、主に道南・川汲の真昆布を扱っている。

自分が扱う昆布の現場を見たい、そして漁を手伝いたいと、9年前から毎年昆布漁の時期に、純一さんは川汲を訪れている。

 

去年の3月11日。

純一さんにとっても大きなことだった。

今建設中の大間原発は、津軽海峡を挟んで、川汲の目と鼻の先にある。

こんぶ屋の死活問題だ。

以前から原発に反対していた純一さんだったが、今回のことでますます他人ごとでなくなった。

 

昨年夏、純一さんは知り合いの函館の昆布屋さんから、大間原発に反対している山田農場のことを聞き、話を聞きに訪ねた。

それから大間に渡り、山田農場から紹介された奥本さんに大間原発周辺を案内してもらった。

この話を山田農場の圭介さん、大間の奥本さんから聞いて、大阪から実際に現場に足を運んだ土居さんに私はとても共感した。

土居さんに会って話を聞きたいと思った。

 

そして昨年12月、大阪のこんぶ土居を訪ね、お話をうかがった。

師走の忙しい最中、時間を割いていただき、じっくりとお話をうかがった。

仕事も少し見せていただき撮影させてもらった。

自分の仕事に誇りをもち、まっとうに仕事をするこんぶ土居さんに私は感動した。

 

それから今年5月、土居さんがお世話になっている道南・川汲の昆布漁師・吉村良一さんを紹介していただき、インタビューさせていただいた。

昆布のこと、原発のことなど、お話を伺った。

 

2012年7月24日(火)

16:00頃、宿に到着。

純一さんは昨日川汲入りし、今朝から漁の手伝いをしていた。

ロビーで再開。

大阪で会った時と違い、ラフな格好でたくましい感じがした。

 

荷物を部屋に運び込んだ後、早速純一さんのレンタカーに同乗し、港を案内してもらいながら漁の詳細をうかがう。

私の撮影のために、お世話になっている漁師の吉村さんと色々と話をしてくれていた。

 

コンブ漁には2種類ある。

天然昆布と養殖昆布。

天然昆布は港や陸のすぐ近くが漁場だ。

小さな船に3人から4人乗り、昆布を獲る人、船を操る人、獲った昆布の処理をする人と役割がある。

のぞきメガネで海底の昆布を見て、「まっか」と呼ばれる先が二つに分かれた竿で昆布を根元から巻き取る。

船にあげた昆布の根元をマキリで切り、根と頭をそろえて並べ、根の方にピンを付けていく。

 

沖の方の方に目をやると、ロープか何本も張ってある。

これが養殖昆布だ。

昆布は胞子で増えていく。

培養した昆布をロープにくっつける。

昆布が海面から下へ伸びていく。

 

養殖昆布にも2種類ある。

天然昆布と同じで2年で成長するものと、その半分の1年で成長する促成昆布というものがある。

そのロープを回収し、昆布をロープからはずす。

 

天気がいい時は視界がいいので、天然の昆布漁。

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撮影報告 その125 2012年 初夏 山田農場 その2

 

2012年6月25日(月)。

朝6時前に目が覚める。

窓の外をみると圭介さんとあゆみちゃんはいつものように朝の仕事。

これから搾乳がはじまるところだった。

撮影をするつもりはなかったのだけど、やっぱりしたくなり支度をして外に出た。

朝の静寂の畜舎。

搾乳をするあゆみちゃんの姿は何度見ていてもいい。

圭介さんが、ヤギを下の牧草地に追う。

これもまた撮ってしまった。

下の放牧地。

下の牧草地に久しぶりに行った。

畑。

 

畑がけっこう大きくなっていた。

自家用の豚。

豚も2頭、広いところにいた。

おいしくなりそうだ。

 

小屋も増築中。

圭介さんがぽつりぽつりと説明してくる。

この土地に対する愛情が伝わってくる。

ガーコと仲間たち。

アヒルのガー子は新入りの2羽のアヒルとすっかり仲良くなって、3羽で農場を歩き回っている。

お尻を振りながら3羽で歩く姿がかわいらしい。

ボー。

朝ごはんを食べ、ユウサクは7時に小学校へ出かけていった。

途中まで圭介さんと犬のチチといっしょに。

 

 

コウサクは8時に保育園へ。

圭介さんが車で送っていくのを見送った。

出かけに、「帰って来るまでヨウコチャンいてね。」と言われたのには参った。

 

そしてあゆみちゃんはハルサクをおぶってチーズの発送の準備などする。

 

 

野村さんから電話があり9時半くらいに山田農場に来ることになった。

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撮影報告 その124 2012年 初夏 山田農場 その1

 

2012年6月24日(日)。

親方の家を後にして、チャップリン館に行き、ゆっくり温泉につかる。

今回もかなりの長丁場。

さすがに疲れが出てきた。

 

そして夕方、山田農場へ。

間もなく圭介さんとあゆみさんは夕方の仕事が始まった。

今日は泊まるだけで、明日撮影をさせてもらう。

山田農場はミルクの放射能検査をした。

そのことについて、どういう思いでやろうと思い、そして小出さんの話を聞き、今そのことについてどう考えているのか、改めて聞こうと私は思っていた。

 

 

私は家に入り、おかみさんが持たせてくれたイチゴをちゃぶ台の上に置いた。

イチゴの前にコウサクとユウサクは膝をついて二人並び、「おいしそう」と声を合わせた。

 

次の瞬間コウサクは「食べていい?」

と言う。

「後でみんなで食べるけど、味見していいよ。」

と私。

イチゴをつかんで口に入れた。

「オイシイ」

ニカっと笑った。

「もう一つ食べていい?」

とコウサク。

「イイよ。」

と私。

ユウサクはちょっと離れて見ていた。

「ユウサクも味見したらいいよ。」

と私がいうと、一つつまんでおいしそうに食べた。

コウサクは三つ目のイチゴに手を伸ばしていた。

「ユウサクももう一つ味見したら。」

と私がいうと、

「いい」

と言って食べなかった。

お兄ちゃんってすごいなあと思った。

 

座った私の膝の上にすかさず座るコウサク。

「ヨウコチャン、また船乗りたいね。コウサク、ヨウコチャンと一緒に乗りたい。」

と私の膝の上で何度も言う。

去年の春にいっしょに大間に行った時に乗ったことが、よっぽど楽しかったのだろう。

「またいっしょに船乗ろうね。」

「ウン!」

かわいすぎる。

 

私がふと「あー、疲れたー」と言うと、

ユウサクが私の後ろにまわり、肩をたたきはじめた。

見かけによらず力強いたたきだった。

「あー、効くー。気持ちいいー。」

と私がいうとまた更に力を入れてたたいてくれた。

すると、コウサクが自分もやりたいと言って、ユウサクと交代した。

コウサクもなかなか力強い。

小さな二人の男の子の癒しの力はすごい。

[…]