貴美子さんの家の台所から。 2012年11月28日。 朝から天気がよかった。 陽の光に照らされた上野の集落が美しかった。 朝食をいただき、9:30に出発。 今日は、明通寺、大飯原発、高浜原発の撮影。 国道27号線を小浜方面に向かった。 原発事故が起こった時に、道路が遮断されるゲートがある。 上野の集落から国道に出て間もなくのところにそのゲートがある。 ここだけでなく、大飯、高浜原発の撮影の道すがら、このような遮断機をいくつも見かけ、下をくぐった。 万が一の時は、車で逃げることはできないのだ。 ちょっと信じられないことなのだが、人間も車も放射性物質とみなされて、外に出さないということらしい。 ひどい話だ。 でも現実にそういうゲートがあるのだ。 若狭の人はみんなこのことを認識している。 喜美子さんの家には25年以上前からガイガーカウンターを設置している。 亡くなったお連れ合いが、京大で何年か核物理を研究していて、放射能にたいする知識があった。 お連れ合いの実家・若狭の上野に戻った時から、万が一に備えて設置したのだそうだ。 そして、車では逃げられないので、自転車を用意している。 リュックの中に現金や最低限の必要なものを詰めてあり、万が一に備えている。 そして避難ルートも風向きによっていくつか想定してある。 「それでも、いつもどこかに不安があり、シャワーで頭を洗っている時とかに、もし今ガイガーカウンターが鳴っていたら・・・と思うことが度々あるの。」 と喜美子さんは言う。 2011年3月11日の事故直後から、貴美子さんの家のガイガーカウンターは頻繁に鳴っていたそうだ。 設定数値を低くしていることもあるが、1年半以上たった今でも、雨上がりの翌日などは鳴るときがあるそうだ。 福島の放射能はここ若狭にも確実に飛んできていると実感する。 10:00 明通寺に到着。 朝の光の中のお寺は実に美しかった。 三重塔、本堂はもちろんだが、まだ昨日の雨に濡れていた植物たちがキラキラとしていた。 「今年はあまりもみじが赤くならなくてね。いつもはもっと赤くなってもっときれいなんですよ。」 と、通りかかった副住職さん(哲演さんの弟さん)が、話しかけてきてくれた。 とても感じのいい方だった。 この弟さんが、あちこち講演でかけまわっている哲演さんを支えているのだなあと感じた。 明通寺で3時間も撮影をした。 13:00 大飯原発に向かう。 大島半島。この先の方に大飯原発が立っている。 途中、横道に入って大島半島のロングを撮影。 青葉富士と青戸大橋
青戸大橋 そして大飯原発へ行くためにつくられた青戸大橋を色んな場所から撮影した。 青葉富士がきれいだった。 青戸大橋の上。 その青戸大橋を渡り、いくつものトンネルをくぐり、いくつかの小さな集落を通り過ぎ、大飯原発へ。 建売住宅が並んでいるような漁村もあった。 大飯原発入口 大飯原発の入り口には警備の人が数人いた。 そこは写真だけ撮った。 原発入り口からすぐのところに、集落と海水浴場があった。 どこか少しでも原発が見えるところはないかと車で探した。 右側が海。景色が見えない。 海沿いの景色のいいところなのに、なぜか景色をふさぐように生垣があった。 […]