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信級日記 vol.8

令和元年5月28日

6:00 今日は田植え。植える苗を、各田んぼに置くところを撮影。

7:30過ぎ 小雨。イサとカナがバスに乗るところを撮影。

この日は近所のおばさんも一緒に乗って行きました。

引き続き、田植えの撮影。

小雨が降っているので、事前につくったキャメラとマイク用の雨用カバーを付けました。

小ぶりの田植えトラクターに乗った植野くんがゆっくりと田んぼに近づいてきました。

妙にかわいらしい。

田んぼに入り、苗を背後に装着します。

そして、自動で植えられていきます。

動きを予測して、撮りたい画を狙うのですが、外れることも多々。

画角のサイズ、操作系統のボタンなどがまだ体に馴染んでいないことも大きいです。

思うようにいかなくて、くそーと思いますが、

何より、ファインダーの中のモノゴトをしっかり見ているか、

ということを心がけるようにしています。

手持ち撮影は撮りたいと思った時にパッと撮ることができて機動性がいいです。

三脚を使った方が画面が安定してもちろんいいのですが、

一人で重たい三脚を担いで移動して、設置して水平とって・・・

という作業はけっこう消耗しました。

9:00過ぎ、長野市民新聞の秋田記者が取材にやってきました。

信級の映画の撮影を記事にしてくれるそうです。

田んぼで写真だけ撮り、話は撮影が終わってからということになりました。

私は必死で撮影。

カエルの声がすごいです。

田んぼの中で、きれいなグリーンの小ぶりのカエルや茶色のカエルを時々見ました。

田んぼに苗が植えられていきます。

まだヒョロヒョロした苗なのに、少し離れてところから見ると、

その田んぼ全体が淡いグリーンに覆われて見えます。

[…]

信級日記 vol.7

令和元年5月27日

朝。苗踏みの撮影。

私が信級にきてから、ずっと晴天が続いていますが、

この日は夏のように暑い日でした。

植野夫婦二人での畑仕事の撮影。

庭の脇の草を刈って、その草を畑の苗の周りにかぶせます。

雑草よけのためです。

畑にはサツマイモ、人参、アスパラ、ねぎなどが植えられていました。

それが終わると、田んぼの畔にはえているヨモギの収穫へ。

ヨモギ畑のようにたくさんはえています。

ヨモギをジェノベーゼのようなペーストにしたいということでやってみるそうです。

収穫を終え、軒先で刈ってきたヨモギを丁寧に洗います。

そしてブルーシートに広げて天日で乾燥させます。

夫婦二人で協力しながら、何気ない会話を交わす姿。

農作業って、いいなあと思います。

それと同時に、こんな風になれるまで

どれだけのことを二人で積み重ねてきたことだろうかとも思います。

午後、道路を挟んだ向かいの西川さんのお宅へ遊びに行きました。

西川さんは不在でしたが、息子の心一朗くんがいました。

彼は釜も自分でつくり、陶芸家として作品をつくっています。

作らなくてはいけないものがあり、

今からやるというので撮影させてもらうことになりました。

粘土をこね、ろくろを回して形をつくる作業でした。

心一朗くんはつくりながら、色んな話をしてくれました。

なぜ陶芸をやろうと思ったのか、どういうことに影響を受けたのかなどなど。

心一朗くんはとても綺麗な目をしています。

そして、とてもしっかりした考えを持っていました。

この綺麗な瞳の青年が、どんな風に信級に根を張っていくのか楽しみでなりません。

夕方、子供たちが学校から帰ってきました。

[…]

信級日記 vol.6

令和元年5月26日

朝。植野くんの草刈り、カオリさんの畑仕事を撮影。

今日は信級小学校の草刈りの日。

集落の人たち総出で校庭やプール、校舎の周りの草刈り。

消防訓練もあるとのこと。

その後、小学校建物の一室の公民館で、初めての信級小学校の検討委員会が開かれます。

信級小学校は、現在長野市が管理しています。

その期限が後2年後になっています。

信級地区としてこの小学校の建物をどうするかという話し合いです。

明治45年、今のこの場所に学校が建てられ、色んな変遷を経て昭和51年に閉校。

今に至っています。

8:00 信級小学校へ。草刈機などを持参してみんなが続々と集まってきました。

草刈りが始まる前、植野くんが集まったみんなに私を紹介してくれました。

皆さんにご挨拶をしました。

草刈りが始まり、私も撮影を開始。

みんな思い思いの場所で草を刈っていました。

機械なので結構あっという間に草が刈られていきます。

植野くん、関口さん、イチローさん、吉沢さん、メリーさん、などなど、

知っている人を中心に撮影をしました。

木陰で休んでいる時に、今まで話したことない方とお話ができました。

そして草が刈られさっぱりとした校庭に、消防車が一台ゆっくりと入ってきました。

消防署の方の指導で消火訓練が始まりました。

無事訓練が終わり、私は関口さんと話をしていました。

植野くんがやってきて、

「検討委員会、今回は撮影はだめだそうです」

と言いました。

関口さんが

「せっかくなのに残念だー」と言いました。

植野くんは、払い下げをしてもらう方向で、提案をしてみると言っていました。

建物の老朽化、管理維持費の問題などで、取り壊した方がいいのではないか、

という考えの人もいて、その提案をみんながどう考えるのか。

建物というより、建物を含めたこの空間が、今もみんなの拠り所的存在になっていると私は感じます。

小学校をどうするか、残した場合、維持管理はもちろん、どう活用していくのか、

信級の人にとって大事な問題です。

今回は残念ですが、またこれから撮影のお願いをしようと思っています。

関口さんとしばらく話した後、少し小学校を撮影。

メイン通りを車で走っていたら、庭に出ていたメリーさんと会いました。

そして、手作りの美味しいケーキとジュースをご馳走になりました。

メリーさんは仕事に子育てにとても忙しそうでした。

Tシャツの注文がたくさんきて、社員総出で発送作業に追われ、人手が足りなくてメリーさんも一緒にやっているとのこと。

メリーさんは植野くんの家のミナトくんと同じ年のきゅうちゃんという息子さんがいます。隣に浅野家があって、そこのコウちゃんと大仲良しです。

この日もコウちゃんが遊びにきていました。二人は兄弟みたいです。

[…]

信級日記 vol.5

令和元年5月25日

6:30 苗踏みの撮影。

ホワイトバランスがうまく調整できず、もう一度撮らなくては。

8:30 岩下の羽田富治男さんのお宅へ伺いました。

自宅から少し離れた今年収穫するわさび畑を見せていただきました。

黒いシートで覆われた畑の中に入らせてもらうと、

わさびの緑がなんとも清々しいビシッとした美しい畑でした。

羽田さんの人柄が表れているようです。

早速撮影させていただいたのですが、

なんとも自然な立ち振る舞い。

私も嬉しくなって撮りながら乗ってきました。

川沿いにあるもう一つのわさび畑も見せてくれました。

こちらは一年目のわさびで、さっき見たものより小さい丈です。

隣にブルーベリーの畑もあります。

ここに大きな枝ぶりのいい栗の木が一本すくっと立っています。

この木は羽田さんが17歳に時に植えたそうです。

信級日記 vol.4

令和元年5月24日

朝。子供たちの食事、スクールバスに乗るところを撮影させてもらう。

植野くんの小屋の床板の貼り直しの作業とカオリさんの畑仕事を撮影。

畑のすぐ脇に小屋があり、お互いの仕事をなんとなく察知しながら、

時々話をしたりして仕事をしていました。

そんな二人を見ながら、ああ、なんだかシアワセだなあと、

感じながら撮影をしていました。

なにやら鼻歌が聞こえてきました。

道に出てみると植野家の道を挟んだ隣に暮らす心一朗くんが歩いていました。

ご挨拶をして少し立ち話。

初めて彼に会ったのは一昨年の「風のたより」の上映会の時。

まだ十代だったが、今は21歳になっていました。

彼は田んぼをやりながら、器などをつくる陶芸作家でもあります。

整体もやっています。

植野くんたちと一緒に、神楽の笛もやっています。

現在、母親の貴子さんと暮らしていますが、独立してやっていきたいので、

この近所に家を探している最中とのこと。

とても目が綺麗な青年です。

ぜひ撮影させてもらいたい人です。

お昼ご飯は、かたつむり食堂へ。

この日はこの食堂をつくった寺島純子さん、周平くんが切り盛りをしていました。

純子さんは長野市で出版社を経営しています。信級には3歳まで暮らしていました。

ご両親の信級への思いを聞いているうちに、信級のために何かやりたいと思い、

一昨年、かたつむり食堂をオープンさせたのでした。

周平くんは純子さんの会社の社員です。

ご挨拶をして、ランチをいただきました。

私が食べているときに、娘さんとお父さんの二人が店に入ってきました。

この近くの集落から来た人で、かたつむり食堂は初めてとのこと。

なんだかんだ話をするうちに、小学校へ行ってみたいというので、

私が案内することになりました。

彼らと別れた後、再びかたつむり食堂へ。

吉沢さん、イチローさん、羽田さんが飲んでいました。

「なんだかちゃんと写らないんだ、見てくれ」

とイチローさん。

新しく買ったカメラを私に渡しました。

私と周平くんで説明書も見ながら操作してみましたが、

ピントは合わないし、シャッターは切れないし、

どうやら、初期不良のようでした。

「イチローさん、買ったお店に持って行ってみてもらったほうがいいですよ。」

と私。

羽田富治男さんは初めてお会いした人でした。

腕のいい大工さんです。

昭和27年の信級小学校の増築をした大工さんの一人でもあります。

羽田さんのお父さんも大工で、増築の時の棟梁でした。

現在は息子さんが大工で、富治男さんはワサビやブルベリーを栽培しています。

[…]