2020年10月14日 晴れ
朝、ストレッチ。気持ちの良い日だ。
13:00から関口家の庭で藍染をやるとのこと。ただヒロコさんが顔と声を映さないでほしいとのこと、とメリーさんから連絡があった。
そっかー、撮影しない方がいいのかな?と少し思った。
天気がいいので、とりあえず撮影の支度をして
かたつむり食堂、浅野家の周辺の風景撮影に出かける。
途中メリーさんからメールが入ったので、歩いてメリーさんの家に向かう。
ヒロコさんは歳を重ね、体が思うように動かなくなってきていること、
藍染のことに関しても自分はプロでないので間違ったこと言うかもしれないので声も撮られたくないこと、
でも若い人に教えたいという気持ちはあること。
などなど、メリーさんはヒロコさんから聞いた気持ちを話してくれた。
メリーさんも撮影される仕事(モデル)をしていたので、その気持ちはとてもよくわかるので、彼女を傷つけたくないと。
メリーさんも今まで信級の良さ、手仕事や技などを発信したいと思って、写真を撮ってきたそうだ。今回のことで、初めてヒロコさんとゆっくり話せて気持ちが聞けてよかったとメリーさんは言った。
撮影するかしないか、判断は主催するメリーさんに任せます。
私は言った。
「今後のこともあるからぜひ記録に撮っておきたいと思うので、なるべく私を撮ってください。」
とメリーさん。
私は、その場の状況を見て、撮影しない方がいい感じならやめようと思った。
メリーさんと撮影についての話ができて私もとてもよかった。
と言うことで、午後の撮影の方針が決まった。
こんなみじめなところ、こんなきたないかっこ・・・もっと他に撮るところあるでしょ。
ヒロコさんは、よく私に言う。
私はその度に、こんな美しくて豊かなことはないのに・・・と思う。
私が外の人間だからなのか。
いや、そうじゃない。と思う。
チカオさんとヒロコさんにはこの信級の山の中で、
春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の仕事をして暮らしてきた知恵や技がある。
それが揺るぎなく生き生きと今を生きる源のような感じがする。
少しでもそれに触れたいと私は思う。
でも、それもわたしの我。
なるようになると思っている。
ヒロコさんとの距離は縮まっていくのだろうか。
12:00 かたつむり食堂で昼ごはん。
松茸ご飯にキノコのおかず。今はキノコ真っ盛りの時期なのだ。
てっちゃんから、電話があった。
入院しているとのこと。
私が信級に来てからずっと家にいないし、メールは返信ないし、
電話は通じないしで、みんなで心配していたのだった。
とにかく元気じゃないけど、生きていたのでよかった。
17日に一時帰宅するとのこと。
純子さんもホッとしていた。
13:00少し前。関口家へ。ヒロコさん、穏やかだった。
娘のやす栄さんが、庭に染める液などを用意していた。
藍の花をミキサーにかけ、水を入れてドロドロにした液。
この液に布を浸すのだ。
化学的なものを入れていないので、そのまま液は流せる。
煮る作業がないので、お手軽にできるのがいい。
とやす栄さんが説明してくれた。
メリーさんが染める布を何枚か抱えて歩いてきた。
今日の参加者はメリーさん一人。
加藤家は服をつくるのが仕事なので、いづれは藍染を活かしていければと考えている。
天気は最高。
和やかに藍染がはじまった。
液の温度、吸着液など試行錯誤しながらの作業。
一回染めて余った液なので、染まり方が薄いようだ。
メリーさんは実に嬉しそうだった。
ヒロコさんもやす栄さんも楽しそう。
私も見ながら撮影を始めた。
布を液にしばらく浸す。
絞って風に晒す。
その色がなんとも美しい。
撮りながら、私も一緒に楽しんでいた。
チカオさんも嬉しそうに眺めている。
私はほぼ、いつも通りに撮影していた。
「カメラさんもやってみるかい?」
とヒロコさん。
「やりたいです!!」
私はキャメラを置いて、車の中にあった布の白いマスクを持ってきた。
やす栄さんがシルクの端切れ布をくれたので、それも染めてみた。
布の素材によって染まり方も違う。
メリーさんは哲朗さんから託された大判の布を染めた。
信級の風に晒された布が美しかった。
16:00 終了。
よき日だった。
ヒロコさんは針をうちにやす栄さんと出かけていった。
「今から話を撮って欲しい。ババには許可もらったで。」
とチカオさん。
若い人が、信級にある森を活かして
なんとか活性化していって欲しいという願いが
チカオさんにはある。
と言うことで、居間に三脚をセッティングした。
チカオさんが結婚する前、長者(チカオさんの生まれたところ)で植林事業があり
青年たちがその中心を担った。
チカオさんとヒロコさんはそこで出会ったそうだ。
チカオさんたちが苦労して植えた木は大きくなり、
現在、手が入れられていないところもありあまり活用されていない。
時々話があちこち飛びながら2時間、チカオさんは話し続けた。
自分が生まれ育ち、今も暮らす信級にこんなにも想いがあることが
なんてシアワセなことなんだろうと思った。
今日も素晴らしい一日だった。
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