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信級日記 冬 vol.40

令和二年12月19日

8:30 朝食。ご飯、味噌汁。

今日はいよいよ水のパイプのチェックの日。

向かいの浅野さん、加藤さん、そしててっちゃんの3人が川に降りてパイプが詰まっていないか調べる。

てっちゃん水が

9:00 私と一坪くんは、外に三脚を立ててスタンバイ。

9:30 浅野さん、てっちゃんが川へ降りていく。

加藤さんも後に続いて川へ。

一坪くんもキャメラを持って川へ降りて行く。

川の水位はそれほど高くないが、流石に真ん中の方は膝下くらいの高さがあった。

浅野さんがジョイントの部分を外す。

小石が数個出てきたくらいだった。

これで水が出るようになったらラッキー。

もしちょろちょろのままだったら、てっちゃんの川からてっちゃんの家のラインに問題があるということなので、それは初めてのケースなので業者に見てもらうしかないということだった。

小一時間もかからず終わり、加藤さんの庭先でコーヒーをいただく。

加藤さんの奥さんのメリーさんがきゅうちゃんを保育園に送って帰ってきた。

加藤さんはご両親と一緒に隣の集落に宿をオープンしたそうだ。

一日1組限定の宿。

きっと素敵な宿なのだろうと思う。

加藤さんはその宿のお部屋に飾る炭盆を選びに隣の浅野家に移動。

浅野さんは東京へ持っていく炭盆を軽トラの荷台に積み込む。

その様子を撮影していると、てっちゃんがやってきた。

「水が出なくなった」

と。

あらら・・・

これは業者さんを呼んで直してもらわないといけないということになった。

そして撮影隊も困ったなあと。

そんな話をしていると、亡くなったマルカさんの息子さんが家の合鍵を浅野さんに渡しにやってきた。

誰も住む人がいなくなった家をお隣の浅野さんに管理してもらうことにしたそうだ。

マルカさんの息子さんが、

「水もお湯も出るし、布団もあるのでよかったら使ってください。」

と言ってくれた。

浅野さんが撮影隊の事情を話してくれていたのだった。

ありがたかった。

てっちゃんの家の水がとうとう出なくなったので、炊事と食事だけ使わせていただくことにした。

早速浅野さんが、家の中をざっと見せてくれた。

つい最近までマルカさんが暮らしていたんだなあと改めて感じた。

そして出来立ての合鍵を預かった。

[…]

信級日記 冬 vol.39

令和二年12月18日

7:00 起床。朝食。

目につくところを掃除。

9:00 関口さんの炭小屋へ。

ちょうど窯に火をつけるところだった。

雨は少し降っていたが、風はなし。

木材をチェーンソーでカットし、

窯の中が満杯になるまで木材を入れていた。

白樺の皮がスターター。

北海道ではがんびの皮という。

私も薪ストーブをつける時によく使った。

関口さん、なかなかうまくマッチを擦れない。

「お願いがあります。マッチを擦ってください。」

と関口さんが私に言った。

無事に火がつき、白樺の皮を窯の中へ。

雨が降って湿っているので何度か白樺の皮に火をつけ窯に入れた。

そして手動の風を起こす機械をグルグル回して、火に勢いをつける。

イチローさんが散歩でやってきて、また大きな声で関口さんに話しかけた。

カナタに勤め出したカモちゃんも散歩で通っていった。

炭小屋の雨樋から落ちる雨水はドラム缶に溜まっていく。

なんともいい音だった。

そのドラム缶の水を汲み、窯の炊き口の脇の土の上に垂らし、灰や炭の砕けたものを混ぜ、スコップで練る。

その泥で焚き口の穴を塞ぐ。

一段落すると、

「中で座って話をしよう。」

と関口さん。

焚き口の前に座り、関口さんの話を聞いた。

炭のこと、信級のこと、中国旅行のことなど。

お昼の音楽が流れた。

午前中の撮影は終了。

関口さんも家へと戻っていった。

私たちも宿舎へ戻り、ご飯と味噌汁と缶詰で昼ごはん。

13:30 午後の撮影へ出発。

川を挟んだ向かいの浅野家へ。

[…]

信級日記 冬 vol.38

令和二年12月17日

7:00 起床。味噌汁を作り、簡単に朝食。

台所は大きな窓がある。

雨が少し降っていて、山に雲がたなびいていた。

一坪くんは外に撮影に出た。

私は台所、洗面台など掃除。

浅野さんがヤカンを持ってきてくれた。

てっちゃんの家が水がちょろちょろしか出てないこと、浅野さんは知らなかった。

向かいの浅野さん、加藤さん、亡くなったマルカの兄さんの家は

同じ水源から水を引いている。

川を挟んだてっちゃんちだけ水の出が悪い。

「吉澤さん、言ってくれればいいのに。川を渡しているパイプが詰まっているかもしれない。一度チェックしてみましょう。教えてくれてありがとうございます。」

と浅野さんは言った。

雨が小降りになってきた。

撮影に出発。

長者山方面へ車を走らせる。

どんどん天気が良くなってきた。

開けて集落が見える場所で車を止め、撮影。

雲が湧いてたなびいて。幻想的。

刻々と変わる風景。

長者山の駐車場まで行き、展望台まで歩く。

雲がかかり眺めはよくなかった。

引き返す途中、関口さんの土蔵と畑で撮影。

前に降った雪が草の上に少しあった。

雲が下から上がってきたり、急に強い風が吹いたり、

雨がバラバラ落ちてきたり、目まぐるしく天気が変わった。

お昼になったので、さぎり荘へ。

私はカレー、一坪くんはカツ丼。

そして信級のホープ、心ちゃんの新居へ。

心ちゃんは、イチローさんの家の川を挟んだ向かい、平林さんの裏の家に自分の居を構えることにしたのだ。

行ってみると、家の裏手で何やら作業をしていた。

家の中にあったものを全て出し、自分の荷物の運び込みは終わったそうだ。

家の前には、窯もつくっていた。

ただ、馬屋だった部屋の下に水が溜まっていた。

[…]

信級日記 冬 vol.37

令和二年12月16日

7:30 信級へ向かって出発。

雪はなく、快晴。

12:30 のぶしな到着。

予想していた雪景色はなく、秋の枯れた感じだった。

今回は日向畑の吉澤哲明さん(てっちゃん)のお宅を宿舎として使わせていただくことになった。

家の前に車を止めると、向かいの加藤さんの奥さん、メリーさんに会う。

お隣の村田さんのおじいちゃん(みんなはマルカさんと、屋号でよんでいる)が数日前に亡くなり、今日お通夜なんですと話してくれた。

前回、てっちゃんを家の前で撮影していたときに、収穫した白菜を抱えて前を通って行ったおじいちゃんだ。

「マルカの兄さん」とてっちゃんが慕っていた人だった。

撮影に来る度に、一人、また一人と欠けていく寂しさを実感する。

てっちゃんはりんごの配達のアルバイトでいない。

夕方に帰ってくるとのこと。

まずは車から荷物を玄関に運び込む。

てっちゃんの家は昔旅館をやっていたのでいくつも部屋がある。

でも一人暮らしのてっちゃんが使っている部屋は一つだけ。

その他の部屋を見てみると・・・

ムムム・・・かなりの掃除と片付けが必要。

3部屋をなんとか寝られるようにしなくては。

一つ問題があった。

秋の台風以降、水がちょろちょろしか出なくなっていた。

そしてお湯が出ない。

ちょろちょろでも出ているだけいいとしよう。

お湯はガズコンロで沸かせばいい。

あれ、ヤカンが、ない。

使える鍋なども、ない。

一坪くんが到着するまで時間もない。

長野駅まで迎えに行くことをやめ、

信州新町までバスで来てもらうことにした。

とにかく掃除だ。

向かいの浅野さんに電話したら、ヤカンと鍋は貸してくれることになった。

よかったー。

15:30 信州新町へ一坪くんを迎えに行く。

帰りに豆腐や肉、野菜などを買う。

植野家に寄り、ご挨拶。

てっちゃんちに戻り、再び一坪くんと掃除開始。

私は一階の居間の隣の部屋、一坪くんは二階の部屋に寝ることにした。

二階の窓から、かたつむり食堂の方がよく見える。

また違う角度から見る景色もいいなあと思った。

てっちゃんが帰ってきた。

「おお、好きにやって。」

とニコニコと言った。

夕食づくり。

私はご飯をたく。

一坪くんがシチューをつくる。

水もちょろちょろ、お湯も出ないこの状況も楽しめる一坪くんが心強い。

[…]

信級日記 冬 vol.36

令和二年12月14日

しめ縄づくりと雪景色を撮ろうと、冬の撮影に出発。

苫小牧まで、凍てつく冬道だった。

まだ16:00にもなっていないのにもう暗い。

19:30の出航が2時間ほど遅れた。

令和二年12月15日

18:00頃、新潟港に到着。

雪はなかった。

これから信級へ走ると夜中になる。

この日は無理をせず新潟港近くのホテルに宿泊することにした。