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夏休みの旅 その3

大人たちは(私だけでなく)、なんといっても晩が楽しみでなりませんでした。

山田農場の売店には、ここのチーズに合う自然派ワインがずらりと取り揃えられています。ここのチーズに合う日本酒も並んでいます。

毎晩、ケースケがセレクトしてくれたワインをみんなで味わいました。

もちろんチーズと共に。

何がいいかって、そのワインが、そのぶどうが、どうやってつくられているかをケースケが話してくれるのです。

「このワインは時間かけて飲むと味がどんどん変化してくるよ」

などと教えてくれたりして、これがまた楽しく美味しいのでした。

やっぱり美味しいのには訳があるんですね。

そして、飲んだらわかります。

「これができるのはやっぱりケースケしかいない」ということで、

ケースケが平等に同じ量をグラスに注ぐ係りになりました。

嫌がっていましたが、争い?を避けるためです。

そして、とても嬉しいことがありました。

かおりさんは、初め、「私、ほとんど飲めないんです。」と言っていました。

それが、なんと「このワインは美味しい!」と言って、結局私たちと全く同じ量のワインを毎晩飲み干していました。

ケースケもとても喜んでいました。

日中は、ケースケとあゆみちゃんは仕事をしているし、

子どもらから目が離せないこともあり、話があまりできずにいました。

「ところでどうして信級に暮らしてるの?」

「二人はどうやって知り合ったの?」

と、ケースケとあゆみちゃんは遠くからやってきた植野夫妻に聞きます。

植野くんが話だしてしばらくすると、

「この香り、たまらんわー」などとワインの話にいってしまう中、

時々思い出しては、途切れ途切れに植野家の今までの話を聞きながら、ワインとチーズを堪能した3日間でした。

「明日はどのワインにするかな?」

と、ケースケもワイン選びにかなり気合が入っていました。

二日目は5人であえての2本。

かなりの制限です。

ゆっくり飲まざるを得ない中での、5人の飲み方がまたそれぞれで面白かったのでした。

私と植野くんはとても早いペースで飲んでしまうタイプ。

「香りがこんなに変化してきたー」

という前に飲み干してしまっています。

これだけまだグラスにワインが残っている優越感を味わいたいのと、変化してゆく香りを味わいたいのとで、ゆっくり飲むことにチャレンジするのでした。

制限のある中で飲むことの楽しさを知りました。

3日目は最後の晩餐。

ケースケとあゆみちゃんも仕事を早めに終わらせて、7時ごろから晩餐を始めました。

子どもらもすっかり慣れて落ち着いて遊んでいて、「どうしたの?今日静かだね」と感じるほどでした。

最後の晩餐なので、3本。

でも1本のワインが2本分の量がある大きなワインだったので、二日目の倍のワインの量です。

そのワインを始めに全部開けます。

そして、ひとグラス飲み干すと、次の違うワインが注がれます。

ひとグラスごとに、違うワインの味の違いが楽しめて、そして同じワインを飲むときには、時間が経っているので、また味の変化も楽しめます。

この飲み方は、かなり好きでした。

新たなワインの楽しみ方を教えてもらいました。

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