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アナとの旅 その7

最後の2日間は再び東京へ。

私の実家に泊まりました。

アナは私の両親にもとても親しみを感じたらしく、

私の両親もすぐにアナが大好きになっていました。

しかしアナは、どこへ連れて行ってもみんなから好かれる人です。

特に父は自分が趣味でやっている書を、

「見て見て!」とまるで小学生のようにアナに見せていました。

アナも最後まで楽しそうに父に付き合ってくれました。

母は美味しい料理をつくってくれました。

父も私たちを車で駅まで送ってくれたりと、何かと世話を焼いてくれました。

両親のありがたさを改めて感じました。

両親と別れた時、車の中でアナは泣いていました。

アナは世界中を歩いていて、出会いも多いけど、別れも多い人です。

このような別れをどれだけしてきたのだろうと思います。

しかし、とてもシアワセな悲しみです。

私も少しわかります。

嬉しい出会いがあれば、必ず別れがあります。

でも私たちは作品をつくることでまた出会えます。

ヤマガタ映画祭の東京スタッフ、アナの映画の配給会社のスタッフ、「風のたより」の整音をやってくれた柳屋さん、そして東京に仕事で来日していた通訳の山之内悦子さんらと、

新宿のゴールデン街で飲みました。

もちろん蛾王で。

蛾王のママもアナの映画をヤマガタで見たので、楽しみにしてくれていました。

このメンバーは英語を話せる人が多かったので、私は久しぶりに会えた柳屋さんと話すことができてよかったです。

アナもまたみんなと再会できて嬉しそうに話していました。

私と柳屋さん、アナと山之内悦子さんで、洗濯船にも行き、ゆっこさんにも会えました。

洗濯船は禁煙なので、タバコを吸わない私たちにとってはほんと嬉しい店なのです。

アナの日本滞在最終日の晩。

私の実家に山之内悦子さんもやって来て三人で泊まりました。

北海道最終日の晩、アナは「風のたより」を私の家で観ました。

その感想を山之内さんに通訳してもらいました。

アナが帰国する日。

私は空港まで見送りに行きました。

美味しいもの食べてゆっくり過ごしてもらいたいと思っていましたが、

終わってみたらとんでもなく強行軍のスケジュールになっていました。

でも、私が大事に思っている人たちとアナが出会えて、

その人たちと通じ合えて、本当に嬉しかったです。

ずっと一緒にいて、たくさん話をしました。

お互い母国語でない英語で話をしたわけです。

特に私は語彙が少なく、英語が苦手で聞き取りも喋るのも苦戦していたのですが、

なぜかすごく通じていると感じていました。

話す話題、それに対する考え方、共感できる部分がたくさんありました。

時々、私の英語が通じてるか不安になると、

アナはことあるごとに、

大丈夫。ヨーコはパーフェクトだから。

私たちは完璧にコミュニケーションできてるわ。

と言ってくれました。

そして、

ヨーコ、通訳して!

と言うのでした。

リムジンバスの中、空港が近づくにつれ、

私はアナと別れるのがとてつもなく寂しくなってきました。

私が半べそ状態になっている中、アナは全く関係ないおかしい話をしていました。

私はあさっての方向を向きながら聞くだけでした。

チェックインを済ませ、少し時間があったのでお茶をしました。

そこで初めて映画の話をしました。

アナも私も映画をつくる人です。

でも今まで映画の話はほとんどしていませんでした。

食べ物の話や今まで出会った人の話が多かったと思います。

日本の食、文化をとても尊敬してくれていることもとても嬉しかったですし、

一食、一食を共にして、いつもとても嬉しかったし、食べさせがいがありました。

アナと話したことで、私は俄然次の作品をつくる意欲が湧いてきました。

あ、今日は日曜日だ。

子どもらは学校が休みだから、山田農場に電話してみる?

と私。

電話したい!

とアナ。

長男のユーサクが出て、ひとしきり話し、

次男のコーちゃんに代わってもらいました。

コーちゃん「大人になったら、ポーランドへ行くからね」

アナ「オー、あなたは私の大事なゲストだからぜひ来てね。」

「コーちゃん、英語を勉強してね。そうしたら、直接話せるから。」

コーちゃん「うん。わかった。頑張る!See you!」

コーちゃんと話している時のアナの顔は、ほんととろけるようです。

今回の旅は言葉にまだ表せない、それほどのものだったとアナは言いました。

私にとってもそうです。

別れは寂しいけど、今度また会うのが楽しみにもなってきました。

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