2013年4月1日。
いい天気。
いつものように朝食をいただく。
店仕様の服に着替えるマスキくん。
「ミワさーん、シャツ出してもおかしくないかな?」
と工場の中にいたミワさんにチェックしてもらう。
スタッフのあゆみちゃんもやってきて工場に入る。
ゴンちゃんとモノの置き場や動線の確認。
トレーにのったゴンちゃんのパンが小さな窓から出てきた。
ミワさんかそれを受け取る。
「ゴンちゃんのパンが初めて棚に並ぶー!」
とミワさん。
記念すべき一つ目のパンを大事そうに棚に置く。
あゆみちゃん、マスキくん、ゴンちゃんもやってきて、パンが並んだところをしばし見つめていた。
パンの前で記念撮影。
朝の朝礼。
一人ひとり、想いを話す。
去年一年、パンがない中、おにぎり屋とランチプレートでなんとかしのいできた。
ゴンちゃんはひたすらパンと向き合う日々。
そして店に出せるレベルまでになった。
コツコツつくってきた窯もなんとかできた。
あゆみちゃんもマスキくんもかなりウルウルきていたよう。
私もみんなの顔を見ていてジンときながら撮影を続けた。
一番初めのお客さんがいつくるか、みんなでワクワクしながら待っていた。
車が駐車場に止まった。
出てきた人が店に向かって歩いてくる。
「来るよ、来るよ!お客さん!」
とみんなスタンバイ。
月曜平日にも関わらず、この日は20組以上のお客さんがやってきた。
コハムさん、ユノちゃんのおかあさん、近所の人たちもやってきた。
フーさんも嬉しそうにちょこちょこやってきた。
みんな心待ちにしていたのだなあ。
パンを買っていくお客さんを見るゴンちゃんの顔。
久しぶりの店の営業。
みんな楽しんでいた。
そしてどんどんエンジンがかかっているようだった。
ランチは工場でみんなでいただく。
パンとチーズ。
ラムヤートはここ洞爺で、暮らしと仕事を味わいながら、これからもゆっくりと目指すところへ歩いてゆくんだろうな。
3時。
カフェスペースでお茶をしながらスタッフミーティング。
それぞれ気づいたこと、早急にやるべきことなどをみんなでシェア。
今度中学生になる近所のソラくんが遊びにきて、ミーティングの輪に入る。
ゴンちゃん:
「材料代など、月末までに○○円支払いがあるんです。その内の○○円は、もう少し先の支払いでも大丈夫です。ボクの貯金が○○円あるので、そのぶんは立て替えられます。」
あゆみちゃん:
「そっかー。どうしても難しいなら、私に言って。」
マスキくん:
「というか、あっー、情けないっ。」
4時過ぎ、閉店。
終業のミーティング。
予想以上にお客さんが来てくれたこの日。
スタッフそれぞれが色んな想いでこの一年を過ごし、そして今日、素晴らしいオープンを迎えられた。
私は静かに感動していた。
そしてまたもやウルウルのあゆみちゃん。
最後にマスキくんが私にふった。
私はキャメラを止めた。
一気に色んな感情が込み上げてきて不覚にも涙があふれてきた。
私のクランクアップもみんなが祝ってくれた。
最後の夕食。
スタッフのゆうこちゃん、後からあゆみちゃんもやってきた。
マスキくんが上等な月浦ワイン、ゴンちゃんが上等な十勝ワイン清見を用意してくれていた。
ラムヤートのスタートと映画のクランクアップをみんなで祝った。
そしてもう一度、ゆみこ祭りをみんなで鑑賞。
しばらくこれで笑えるなあ。
2011年3月11日。
この日をきっかけに、私は、まだ名もなき映画を撮り始めた。
どうなるかわからない危機感をかかえながらのスタートだった。
2年後の今、その状況はちっとも変わっていないが、クランクアップしようと思えた。
しかも、私は満ち足りていてシアワセを感じている。
3.11が起こらなければ、ラムヤートとの面々とこんな風には出会ってなかっただろう。
まだ名もなき映画の最後の撮影がラムヤート。
一生忘れないだろう。
マスキくん、ミワさん、ゆうら、ゴンちゃん、あゆみちゃん、洞爺の人たち、
本当に、
本当に、
ありがとうございました。
そしてこれからもよろしくお願いいたします♪
監督!クランクアップおめでとう~ございます!
早く映画みたいな~