雁屋哲さん。
2012年10月23日。
磨光小学校での土居さんの食育授業に引き続いて、南茅部公民館で雁屋さんの講演会。
私は先に公民館へ入り、機材を運び込みセッティングをした。
講演時間が近づくにつれ、続々と人が集まってきた。
昆布漁の撮影でお世話になった吉村良一さんもやってきた。
150人ほどの人が参加。
雁屋さん夫妻、そしてこんぶ土居さんの御一行が入場して、司会者に紹介された。
こんぶ土居三代目・土居成吉さん。
そしてまず3代目がこの講演会を開催する経緯など話をした。
30数年前から、3代目は川汲地区を訪ね、質のよい昆布をつくるために昆布漁師さんと関係を築き、
その縁から漁協や地元小学校の子どもたちと交流をつづけてきて15年になる。
今回は一つの区切りとして、3代目と親交のある「美味しんぼ」の原作者・雁屋哲さんをお招きして南茅部で講演会を開くことになった。
雁屋さんの声がまた素敵だった。
材や食べ物を色々なところに取材に行った時の話、 美味しんぼの話など、とても面白かった。
きちんとつくられたものを、普通に食べることが非常に難しい今。
その食材をつくる人がいて、私たちは初めて食べることができる。
改めて食べることの大事さを思わされた。
会の終わりに土居さんが閉めの挨拶をした。
小5の時、土居さんの食育授業を受け、その後の作文で「漁師になる」と書いた、カワバタくんが来ていた。
彼は今南茅部高校の3年生。
彼のじいちゃんがつくった昆布を雁屋さんにプレゼントした。
その昆布は昆布のヒモでくくられていた。
土居さんの見事な演出だった。
そして土居さんは話を続けた。
「私は昆布漁師の人たちに幸せになってもらいたい。幸せには色々な形があって、お金がそれほどなくても幸せに暮らしていけることを描いている空想の森という映画があるんです。その映画をぜひここで上映しましょう。そこで撮影しているのが監督の田代さんです。一言どうぞ。」
と、三代目が言った。
私はファインダーをのぞきながら少しびっくりした。
そして撮影を中断して、ご挨拶をさせていただいた。
最後に質問コーナーもあり、盛況のうちに講演が終わった。
三代目もホッとした表情をしていた。
私は吉村さんを車にのせて、一緒にひろめ荘へ向かった。
雁屋さんご夫妻、下倉さん、吉村さん、土居さん一家、地元の校長先生たち3人でひろめ荘で夕食。
みんなでおいしく食事をいただいた。
吉村さんのこんぶの話、雁屋さんの話もまた聞けてとても楽しかった。
雁屋さんは気さくで明るくとても素敵だった。
四代目の純一さんは明日、大阪の店に南茅部高校の生徒が修学旅行で訪ねてくるので、今日は千歳空港まで行かなくてはいけなかった。
20:00過ぎ。
下倉さんの車に、雁屋さんご夫妻と純一さんが乗り込み札幌へ向かった。
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