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風のたより その42 工藤さんとの出会い

左から工藤さん、私、工藤さんのお連れ合いのイクコさん、野村さん。 工藤家にて。

岩やんのお祝いの会の翌日。

数か月前に、

「『空想の森』の上映会をやりたいんです。」

と連絡が来てやりとりをしている銭函の工藤さんに会いに行くことにした。

野村さんと石川さんもいっしょにいくことになった。

 

工藤さんはフォトグラファーで、以前に野村さんを取材したことがあり、知り合いだったことがわかった。

世間は狭いものだ。

 

汽車で銭函駅へ。

銭函が置かれていたり、ぶるさがっていたり、面白い駅だった。

ホームを渡る廊下から海が見えた。

 

工藤さんが満面の笑みで迎えてくれた。

お宅は山の中腹あたりにあった。

中に入ると大きな薪ストーブがたかれていてとても暖かかった。

ちょうど昼時だったので、いっしょにご飯を食べましょうと、お連れ合いのイクコさんが手料理をつくってくれていた。

1歳三か月の息子・アキラくんはかわいいさかりだった。

 

地元のおいしい日本酒も用意してくれていた。

私は昨日の飲みすぎでひどい二日酔い状態だったため、酒が飲めず、それがとても残念だった。

石川さんがお酒を堪能していた。

用意してくれた食べ物が、これまた酒にぴったりのものばかり。

 

いくこさん手作りのニシン漬け、キムチ。

そして小さいけど身の締まったシシャモ、工藤さんがスモークしたサケの俵型のおにぎり。

かまぼこ、イカの一夜干しなどなどどれもこれもおいしかった。

デザートは友達から送られてきた広島のみかん、地元のだんご。

「これが普段の食事です。」

と工藤さん。

あー、ホントいいもの食べている家だなあと思った。

 

 

工藤さんは「空想の森」の試写用DVDを観てくれた。

色々なことを感じ、とても深く映画を捉えてくれていて、私は本当に嬉しいやら恥ずかしいやら。

工藤さんは、感覚、そしてこれから目指す方向性が同じところを向いている人のように私は感じた。

そういう人と出会えたことが嬉しくてたまらなかった。

 

工藤さんは自分が暮らすこの地域の仲間といっしょに、「空想の森」の上映をやりたいと思い、今その下地をつくっている最中。

面白い上映会になる予感。

 

とても居心地のいいお家で、おいしいお酒(私と野村さんは飲めなかったが)とおいしい手料理を味わいながら、色んな話をした。

 

 

夕方、おいとましてイクコさんに駅まで送ってもらった。

 

帰りの汽車に中で

「あー、おいしかったね。楽しかったね。」

とずっと三人で言っていた。

 

楽しすぎて嬉しすぎる二日間だった。

[…]

風のたより その41 札幌にて

『新宿、わたしの解放区』 岩本茂之 聞き書き 寿郎社

私は面白くて一気に読んだ。

友人の本の出版記念のお祝いの会で久しぶりに札幌に出た。

地下道を歩いているだけで楽しかった。

お祝いの会は夜。

昼にまずはシアターキノで函館の野村さんと石川さんと待ち合わせ、

「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」を観る。

 

先月、群馬に撮影に行った時、竹渕さんがシネマテークたかさきでこの映画を観て、

とっても良かったと聞いていたので観たいと思っていたのだった。

そしてホントにとってもとってもよかった。

こんな人がいて、こんな生き方をしている人がいるなんて。

福島菊次郎さん。

なんてカッコ良くて、かわいくて、気骨のある人なのだろう。

 

いい映画を観て三人で一気にテンションが上がった。

 

先日のこんぶ土居三代目の道南・磨光小学校での食育授業と雁屋哲さんの講演会で、

土居さんに紹介していただいた下倉さんのお店・下倉孝商店がシアターキノのすぐ近所だった。

下倉さんにまたお会いしたかったので、ちょっと寄ってみようと思い、三人で行ってみた。

たぬき小路市場の細い通りに下倉さんの魚屋さんがあった。

下倉さんは長靴をはいて仕事をしていた。

 

 

お昼をとっくに過ぎた時間だったが、魚屋のすぐ目の前の下倉さんの寿司屋ののれんが下がっていたので、ここで食べることにした。

 

びしっと小奇麗で気持ちのいい店だった。

三人でカウンターに座った。

 

「さっき届いた豊後水道のサバとアジも食べてみて。」

と、下倉さんが店にもって来てくれた。

海鮮丼を食べたのだけど、どれもこれも魚が抜群においしかった。

ここでまた、私たちのテンションがポーンと上がった。

 

食べ終わって向かいの魚屋さんで仕事をしていた下倉さんに

「とってもおいしかったです!」

と言うと、

「時間あるか?」

と下倉さん。

「コーヒー飲みに行こう。魚食べたあとはコーヒーがいい。」

と、近所のコーヒー屋さんに連れて行ってくれた。

[…]

風のたより その40 阿賀に生きる

小林茂さんからメールがきた。

11月24日から、『阿賀に生きる』がニュープリントで、渋谷ユーロスペースで再公開することになったと。

 

1996年、『阿賀に生きる』は、私が初めて観たドキュメンタリー映画。

その半年後に、この映画の自主上映会を仲間4人で帯広でやった。

『阿賀に生きる』のキャメラマンの小林茂さんも招いた。

 

今観たら、どんな風に感じるだろうか。

 

『阿賀に生きる』 1992年/日本/115分/カラー/16㎜/ 監督:佐藤真 撮影:小林茂 整音:久保田幸雄

上映日程 2012年11月24日~30日(25日は休み)

上映時間 10:00~11:55

渋谷ユーロスペース

電話 03-3461-0211

HP http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=429

 

 

撮影報告 その159 道南・南茅部にて

2012年10月24日。 朝、土居さんご夫妻といっしょに朝食。 私も必ず食べ物の包装の裏を見て、何が入っているかをチェックするが、土居さんもすごい。 納豆についていたタレの袋をみて、 「これ表示ないでしょ。」 と言った。 パックに入っているものは、パックに一つ中身の表示をしてあるが、 中身のひとつひとつには、何も表示がない。 従ってこのようにホテルなどでひとつひとつにばらされている場合は、中身がわからないのだ。 「ウチは、こんぶあめのひとつひとつの包み紙に表示しているんです。他のものも、原材料はもちろん、スペースかあったら、何をどのくらい入れているかまで書き込みたいんだけど。」 とお連れ合いが言った。 すごい。 土居さんの着ていたシャツがとてもオシャレで素敵だったので、 「そのシャツとても素敵ですね。似合っていますね。」と言うと、 「着ているものを初めて人に褒められました。実は息子にいいシャツを一枚くらい持っていたらいいと勧められて一緒にお揃いで作ったんです。」 と三代目は言った。 素敵な親子だなあと改めて思った。 南茅部高校 朝食後、土居さんご夫妻と南茅部高校にいっしょに行った。 教頭先生が対応してくれた。 三代目がひとしきり話をしてくれた。 そして土居さんご夫婦はあいさつ回りに行くので先に学校を後にした。 撮影、上映会のことなど、本当にお世話になった。 私は引き続き南茅部高校で話をした。 教頭先生が昨日の雁屋さんの講演会に参加した先生二人を呼んできてくれた。 教室からの眺め 講演会の時、質問をしていた英語の先生の米原さんが、学校を案内してくれた。 彼女はこの高校の前は帯広の農業高校に勤務していたそうだ。 共通の友人もいたりして話が盛り上がった。 「毎日海の色が違うんですよ。この教室からに眺めがよくってねー。」 と米原さん。 多目的室。 窓が船の窓のような形になっている。

昆布漁師の子が多いから、夏の時期は登校時間が遅くなるそうだ。

みんな漁を手伝って朝早くから働いているからだ。

「みんなたくましいですよー。」

と米原さんは言う。

 

ここからも海が見える。 米原さんは南部茅部高校に赴任して2年目。 生徒に頼んで、こんぶ漁の仕事を手伝ったこともあるそうだ。 資料室にて。 船の方位磁石。

平成9年まで漁業科があったので、その時使っていたものが色々と展示されていた。 現在は全校生徒76人のこじんまりした高校だ。

米原先生、ありがとうございました。 南茅部高校を後にした。 […]

風のたより その39  寒くなってきました

 

目覚めると、東の空の雲が赤く染まっていた。

朝焼けがきれいだった。

11月に入り、気温がグッと低くなってきた。

そろそろ冬タイヤに換えないとな。