糞土師・井沢正名さん。
2012年10月7日。
あっという間にもう講演の時間が近づいてきた。
店仕舞いをして、今度は中医研の2階で講演会の準備にかかる。
30人ほどが集まり、なかなか盛況になった。
子供たちはトランポリンで大はしゃぎ。
岩田さん、伊藤さん、小松かおりさんも参加。
竹渕さんの司会で講演会が始まった。
未来にちにち堂
は3.11後に竹渕さんが中心になって立ち上げた会。
原発に依存しない社会は、
身の丈の暮らしと、自然の循環を大切にした手作り・自給・自律・相互扶助の社会と考え、
勉強会を開催したり、具体的なかたちを提案したりしている。
その具体的な形が、にちにち堂カフェ。
ひとが、ひとの手で、ものを作る、そこにひとが集う、
そのありふれたことを提案し、実践していく。
それこそが実は「脱・原発」だと考えている。
伊沢さんはとてもすっきりした顔をした方だった。
キノコの写真家だった。
竹渕さんの家にあったキノコ図鑑を見てみると、井沢さんの名前があった。
井沢さんはある時、キノコのしていることのすごさ、素晴らしさに感じるところがあり、写真家をやめた。
今は糞土師として講演活動をしている。
井沢さんのお話は実におもしろかった。
生きる基本は食べて出すこと。
菌類は動植物の死骸やウンコを食べ、CO2や土中の養分になるウンコをする。
植物は菌類のウンコを食べて有機物を作り、酸素というウンコをする。
動物は植物の体と、そのウンコである酸素を食べ正真正銘のウンコをする。
私たちは生きるために自然の中で育まれた多くの生き物を食物として食べている。
そして毎日ウンコを出し続けている。
ウンコ=人糞は人にとっては不要なカスでも、他の生き物にとっては大切な食べ物、ご馳走で、
命の源として自然の中で循環し続ける。
ウンコは人が自然に返すことができる唯一のモノ。
自分を生かしてくれた食べ物・自然に感謝したいという思いで、
井沢さんは野糞を10年以上、毎日している。
するだけでなく、その後どのように分解されていくのか、追跡調査もしっかりとしている。
もちろん、野糞のマナーをしっかり心得たうえで。
実際の写真を見せながら、野糞の素晴らしさ、気持ちよさを存分に語ってくれた。
どういう場所で、そんな風にするのか、お尻を拭く葉っぱはどれがいいかなど、体験と研究に基づく話はとても面白かった。
そして死生観、生き方までつながり、とても深い話になっていった。
野糞と今の原発問題も大いに関係があることだとも感じた。
講演が終わり、何人もの人が質問をした。
またそれに、井沢さんは熱く答えていた。
井沢さんの話を聞いていると、のぐそしてみたいな、葉っぱでお尻をふくのって気持ちよさそうだなと思えてくる。
会が無事終わり、茶話会。
20人ほどの人が参加。
みんなで持ち寄った料理を食べながら、井沢さんはさらに熱いトークを繰り広げた。
「もっといろいろな所で話をしたいのですが、ウンコということで拒否反応がまだまだあって・・・。」
と井沢さん。
それでも、自分がこうしていきたいと思うことに全エネルギーを注いで活動している。
私には井沢さんがとても素敵に映った。
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