大阪のこんぶ屋さん・こんぶ土居の四代目の純一さんが昆布漁の手伝いに道南・川汲にくると聞いて撮影させていただくことにした。
こんぶ土居では、主に道南・川汲の真昆布を扱っている。
自分が扱う昆布の現場を見たい、そして漁を手伝いたいと、9年前から毎年昆布漁の時期に、純一さんは川汲を訪れている。
去年の3月11日。
純一さんにとっても大きなことだった。
今建設中の大間原発は、津軽海峡を挟んで、川汲の目と鼻の先にある。
こんぶ屋の死活問題だ。
以前から原発に反対していた純一さんだったが、今回のことでますます他人ごとでなくなった。
昨年夏、純一さんは知り合いの函館の昆布屋さんから、大間原発に反対している山田農場のことを聞き、話を聞きに訪ねた。
それから大間に渡り、山田農場から紹介された奥本さんに大間原発周辺を案内してもらった。
この話を山田農場の圭介さん、大間の奥本さんから聞いて、大阪から実際に現場に足を運んだ土居さんに私はとても共感した。
土居さんに会って話を聞きたいと思った。
そして昨年12月、大阪のこんぶ土居を訪ね、お話をうかがった。
師走の忙しい最中、時間を割いていただき、じっくりとお話をうかがった。
仕事も少し見せていただき撮影させてもらった。
自分の仕事に誇りをもち、まっとうに仕事をするこんぶ土居さんに私は感動した。
それから今年5月、土居さんがお世話になっている道南・川汲の昆布漁師・吉村良一さんを紹介していただき、インタビューさせていただいた。
昆布のこと、原発のことなど、お話を伺った。
2012年7月24日(火)
16:00頃、宿に到着。
純一さんは昨日川汲入りし、今朝から漁の手伝いをしていた。
ロビーで再開。
大阪で会った時と違い、ラフな格好でたくましい感じがした。
荷物を部屋に運び込んだ後、早速純一さんのレンタカーに同乗し、港を案内してもらいながら漁の詳細をうかがう。
私の撮影のために、お世話になっている漁師の吉村さんと色々と話をしてくれていた。
コンブ漁には2種類ある。
天然昆布と養殖昆布。
天然昆布は港や陸のすぐ近くが漁場だ。
小さな船に3人から4人乗り、昆布を獲る人、船を操る人、獲った昆布の処理をする人と役割がある。
のぞきメガネで海底の昆布を見て、「まっか」と呼ばれる先が二つに分かれた竿で昆布を根元から巻き取る。
船にあげた昆布の根元をマキリで切り、根と頭をそろえて並べ、根の方にピンを付けていく。
沖の方の方に目をやると、ロープか何本も張ってある。
これが養殖昆布だ。
昆布は胞子で増えていく。
培養した昆布をロープにくっつける。
昆布が海面から下へ伸びていく。
養殖昆布にも2種類ある。
天然昆布と同じで2年で成長するものと、その半分の1年で成長する促成昆布というものがある。
そのロープを回収し、昆布をロープからはずす。
天気がいい時は視界がいいので、天然の昆布漁。
雨の日や視界が悪い時は養殖の昆布漁。
その日の漁は漁協が判断して決め、その日の朝4時に放送を流す。
昆布漁は、朝の5時から8時までと時間が決められている。
だから天然昆布の時は時間を争って漁をする。
吉村さんは4人乗りで漁をする。
天然昆布の漁の場合、私は船に乗せてもらえない。
でもすぐ近くで漁をするので、撮影はできる。
養殖昆布漁の場合なら私も船にのせてもらえることになった。
明日の天気予報は雨。
船に乗って撮影できるかもしれないと期待した。
雨対策をしっかりしなくては。
土居さんは吉村さんのお宅へ連れて行ってくれた。
吉村さんは日に焼けていてとても元気だった。
奥さんにも初めてお会いした。
昆布加工の工場で中国人の労働者がとても多い話など、最近の昆布にまつわる話を伺う。
9年前に純一さんが初めてここに来た時には良一さんの父・捨良さんがご存命で80歳を過ぎていたが、漁をしていたそうだ。
純一さんは捨良さんと二人で船に乗り漁を手伝ったそうだ。
捨良さんから色んなことを学んだそうだ。
残念ながら数年前に捨良さんは亡くなってしまった。
宿に戻り温泉に入り夕食を済ませた。
2種類の泉質の温泉があり、なかなかよかった。
そして明日の撮影の準備をあれこれして早めに寝た。
明日は天気が悪ければいいなあ。
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