今回山田農場に滞在していて、とても感動したことがあった。
今思い出したので記します。
山田農所には2頭の牛がいる。
ベイ子とメイ。
ベイ子は圭介さんが前に勤めていた新得共働学舎から連れて来た。
山田農場の初めての牛で、圭介さんとあゆみさんと苦楽を共にしてきた。
そしてベイ子の娘のメイは、山田農場で生まれて育った牛。
去年の春、無事に初めての子どもを産んだ。
当初、山田農場は牛をメインでチーズをつくっていこうとしていた。
その環境が整うまで、扱いやすいヤギを飼い、チーズをつくることにした。
そのヤギのチーズがとてもおいしくできるようになりお客さんもついた。
今後のことを考えると、大きな牛を飼ってたくさんのエネルギーを使うより、人間と同じくらいの大きさのヤギで農場をやっていこうと、
圭介さんとあゆみちゃんは考えるようになった。
メイはこの農場で生まれた牛なので、最後まで面倒見ようという心づもりをしていた。
そしてこの春、圭介さんとあゆみちゃんは、ついにベイ子を売る決心をしていたのだった。
牛を売る時、種をつけていないと高く売れない。
圭介さんたちもベイ子に種つけをしているものの、なかなか種がつかない。
そんなベイ子の頭をなぜながら、圭介さんは言ったそうだ。
「お前、最後までここにいるかー?」
すると間もなく種が付いた。
「ベイ子、ここにいたかったんだね。」
ということで、ベイ子は最後まで山田農場にいることになった。
「きっと長いぞー。のんびりしてるもんなー。」
と圭介さんは嬉しそうに言った。
ベイ子はここにいたかったんだ。
だから妊娠しなかった。
そして圭介さんとあゆみちゃんも、本当はベイ子を手放したくなかったのだ。
山田農場にとっても牛はもちろん経済動物だけど、それだけではない。
こういう関係もあるんだなあ。
「ベイ子、よかったねー!」
もぐもぐエサを食べるベイ子に私は声をかけた。
Leave a Reply