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新作撮影報告 その99 ラムヤート・5年目の冬 その2

マスキ君とゆうら。

 

2012年3月2日。

朝起きて居間へ降りていくとユウラとピリカちゃんが元気に遊んでいた。

ユウラは保育園には通っていない。

前に少し通っていたのだが、合わなかったようだ。マスキ君とミワさん、

そしてゴンちゃんがかわるがわるユウラを見ながら仕事をしている。

 

ミワさんとミアキちゃんは子どもたちといっしょに自主保育についての話し合いに、隣町へ出かけていった。

洞爺湖界隈で自主保育を考えているお母さんたちが増えているようだ。

 

ゴンちゃんとマスキ君と三人で朝食。ゴンちゃんの試作のパン、コーヒー。

ゴンちゃんがじっくりと落とすコーヒーはこれまたおいしい。

ゴンちゃん。

午前中はゴンちゃんの撮影。

この2月から、ゴンちゃんは朝から晩までパンをひたすら試作し続けている。

工房の石窯は老朽化で作り直している最中なので、小さなオーブンで試作を繰り返している。

分量、どんな形でどんな味だったかなど、イラスト入りで詳細に書き留めている。

「パンをつくることが面白いです。毎日時間が足りないです。」とゴンちゃん。

居間は時々保育所のようになるが、子どもたち・ネコたちと共に、ゴンちゃんはマイペースでパンの試作に励んでいる。

ゴンちゃんは、きっと今まで自分が求めていたことを見つけたのかもしれない。

そんな感じがした。

 

マスキ君はこんなことを私に言った。

「パン職人がいなくなって、お客さんたちは心配しているけど、自分は今までのラムヤートよりももっと良くなるイメージがある。

ここの暮らしが好きで、洞爺で暮らしている人がラムヤートのパン職人であって欲しいと思う。

洞爺に来て開業するまでの間に比べたら、今の状況は何ともない。今とても幸せだし、なんとかなるさ。」と。

ミワさんも同じようなことを言っていた。

ラムヤートでみんなといっしょに過ごしていて、私はマスキ君の言葉がストンと腹におちた。

 

また3人で昼食。ごはん、みそ汁、ごぼう。

マスキ君。

そして午後はマスキ君の仕事の撮影。

サオリさんのカフェ・コンテナの内装。

サオリさんもやってきてマスキ君の指導の下、一緒に作業を進める。かがんで力を入れる作業が多く、腰にきそうだ。

サオリさんもいっしょに改装工事。

内装工事の材料や道具は、もらったもの、安く手に入れたものばかりで、それを駆使して作り上げていく喜びにひたるマスキ君。

大概のことは自分でできるんだなあと感心してしまう。

 

夕方、家に戻るとみんな帰って来ていた。

コグレミズホさんと娘のノノカちゃんも来ていて、格段ににぎやかだった。

 

コグレさん。

 

コグレさんは夫の転勤で洞爺にやってきた。

その時は、なんでこんなところに来なきゃいけないのと泣きながら来たそうだ。

そしてすっかり洞爺になじんだ頃、また夫の転勤で今は京極町で暮らしている。

引っ越した今も仲良くしていたマスキ君の家によく遊びにやってくるのだそうだ。

コグレさんはよくしゃべり、マスキ君に毒舌をはく友だちで、二人のやりとりはとても面白い。

左から、ユウラ、ノノカ、ピリカ。

マスキ一家、ミアキちゃん一家、サオリさん、コグレさんとノノカちゃん、大勢で夕食を囲む。

ミアキちゃんたちはまた今夜も泊まっていくことになった。

 

ミワさんの手料理はどれもおいしい。

ゴンちゃんがあうんの呼吸で夕餉の支度を手伝う。

「俺たち飯が一番の楽しみだもんな、ゴンちゃん。」とマスキ君。

 

マスキ家では最近冷蔵庫をやめたそうだ。だから冷蔵庫の電気音がない。

これがとても気持ちがいい。

「やめてもちっとも困らなかった。

冷やさなきゃいけないものって案外少ないのよ。」とミワさんも言う。

昔の給食で使っていた大きな缶の入れ物を廊下に置いて、その中に野菜などを入れている。

瓶類は台所の二重窓の間に置いてあった。

 

食後、近くの温泉へ行った。帰ってきてまたひとしきりみんなで話をした。

日付か変わる頃、就寝。

おやすみーと言って寝床に向かう。

いつも使わせてもらっている客間は、ミアキちゃんたちが使っているので、

私はマスキ君一家の部屋に布団をしいてもらって寝ている。

他のネコたちと折り合いの悪い黒ネコのチョコちゃんがこの部屋で暮らしている。

ダミ声もまたかわいい。昨日は私の布団に入ってきて一緒に寝た。

すぐ横ではミワさんとユウラがぐっすり寝ている。マスキ君はパソコン仕事をしている。

いつの間にか眠りに落ちていった。

 

つづく

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