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旅する映画 その31 京都シネマ5日目

2009年7月22日。 20人弱ほどのお客さん。

平日の10時からを考えれば健闘していると思う。

香川から中井さん、眞理子さん、上原七子さんもお友達を連れて観に来てくれた。

七子さんは共働学舎の親の会の会長さんで、大阪・第七芸術劇場にも観に来ていただき映画を気に入ってくれた人だ。 今日のお客さんはすこぶる反応がよかった。

今までたいがい静かに観ていたので、京都の人はこういうものなのかと思っていた。

今日は特に宮下夫婦の会話ではみんなよく笑ってくれた。

これは何より嬉しい。

私も安心して楽しく観られた。

上映後、京都市内でデイサービスセンターを経営している平野夫妻に話かけられた。

七子さん、眞理子さんも交えて話しているうちに、七子さんとつながりのある人であることがわかり、ひとしきり盛り上がった。

私が彼と話し終わるのを待ち、熱心に話をしてきた青年がいた。

彼は岡山から友人の店を訪ねて京都に来たが運悪く休みだった。

それで映画でも観て帰るかと京都シネマにやってきて、たまたま上映していた「空想の森」を観た。

何の期待もしていなかったら意外に面白かったとえらく気に入ってくれた。

彼は皿井淳介さん。

聞けば彼も岡山で映画をつくっている人だった。

去年「高野山への道」という劇映画をつくったそうだ。

左から皿井淳介さん、中井信介さん、東眞理子さん

そんなこんなで、中井さんと眞理子さんと皿井さんと4人で1階のカフェでランチをすることにした。

中井さんは「すごくよかった。ラッシュと全然違った。」と手放しに褒めてくれた。

とても嬉しかった。皿井さんはなんというか、穏やかで安心感のある人だった。

人の話をよく聞き、しっかり自分の意見も言うとても感じのいい人だった。

「空想の森」のこと、映画のことなど色んなことを話した。

眞理子さんは仕事で先に帰った。 その後しばらく三人で話す。

皿井さんは今晩京都に泊まっていっしょに飲むかどうか迷っていたが、岡山に帰っていった。

そして私は三度、柳馬場通りの馴染みになったヤチヨさんの店へ中井さんを連れて行った。

席に座ってまずはビールで乾杯。ここはメニューがないらしく、手作り料理が次々出てくる。

私たちは久しぶりの再会で話し込みながらビールもすすんだ。

いい頃合でヤチヨさんがとっておきのおいしいお酒をふるまってくれた。

山形の古酒だそうで、本当にうまかった。味わって少しずつ飲んだ。

そろそろ閉店という頃合で私たちは席を立った。

しこたま飲んで食べてお会計が少し不安だった。

中井さんを見ると彼もそんな顔をしていた。

私は今まで全て松本さんにご馳走になっていたので予想がつかなかった。

言われた値段は拍子抜けするほど安かった。

ヤチヨさんは「領収書、書いた方がいいよね。」と言った。そして「24日のお神輿、いっしょに見に行きたいねえ。」と私に言った。その日は、京都シネマの最終日の上映が終わったら神戸へすぐ移動しなくてはならず、とても残念だが無理だった。

「京都に来たらまた寄ってや。映画宣伝しておくから。」と言ってくれた。

「また必ず来ます。」と言って別れた。 歩きながら中井さんが「俺でも安いと思うからすごく安かったと思うわ。京都にこんな良心的な店があるんだね。」と言った。

そしてまた私の宿のロビーでひとしきり話し込む。

2:00中井さんとまた新得でと言って別れた。 上映も反応がよかったし、いい夜だった。

言うことない。

明日は上原七子さんのお宅に泊まりに行くことになっている。

楽しみだ。

とてもシアワセな眠りについた。

[…]

旅する映画 その30 京都シネマ4日目

2009年7月21日。 平日に突入。

10人ほどのお客さんだった。

どうしようか迷ったが、やはり中で一緒に観ることにした。

私は自分の映画を大きなスクリーンでお客さんといっしょに観ることが大好きだ。

その時間、その空間を肌で感じたい。 上映が始まりしばらくすると、ドアが開き人が入ってきた。ああ、私が言った事を劇場が考慮してくれたのだなあと思い、言ってよかったなあと思った。

しかし、誰も誘導していなかった。時間通りに来ているお客さんのことを考えたら、劇場スタッフが遅れて入るお客さんを席まで誘導してあげなければいけないと私は思った。

目が慣れるまで時間がかかるし、もしあせって無暗に座ろうとしたら危ない。

それは後で言おうと思った。この後も何人かの人が入ってきた。

上映後、ロビーでお客さんとひとしきり話をした後、年輩の男性に声をかけられた。

私がよく食べに行く蕎麦屋の主人が京都シネマでの上映を知らせてくれた友人の松本さんだった。

早速ランチをいっしょに食べに行くことになった。

松本さんは定年退職してから京都に居を決めた。

早速彼の行きつけの店に連れて行ってもらう。

その道中、歩きながらお互いのことを簡単に話した。

錦市場に程近い柳馬場通りにある小さな店だった。

左がヤチヨさん、右は私。店の前にて。

昼は定食、夜は居酒屋といったところか。

ママ・ヤチヨさんが一人でやっていて、料理は全て手作り。

水は天神さんの水を汲んできているそうだ。

定食はとても美味しく、ビールを飲みながら松本さんと話が弾んだ。

この店は常連さんが多く、しかも面白い人がたくさんいるとのこと。

左が常連さん、右が松本さん

私たちが食べていると、その常連さんの一人がやってきた。

イノダコーヒーに勤めている青年で、今は東京の支店にいるがもうすぐ京都の本店に戻ってくることになり、住むところを探しに帰ってきたとのこと。

私たちはビールを結構飲み、いい気分でヤチヨさんやみんなと会話を楽しんだ。

松本さんにご馳走になり、お礼を言って別れた。いい店だった。

私は帯広で行きつけの喫茶店もないし、飲み屋もなくなったなあとぼんやりと思った。

蕎麦屋はあるが。

名古屋の映画祭で映画を観てくれた吉田真由美さん(ベコちゃん)が、所用で京都に来るので、晩ご飯を食べる約束をしていた。

私の宿で待ち合わせをして、ベコちゃんに連れられ、韓国薬膳料理の店に行った。

そこでご飯を食べながらおしゃべりをした。

今回、神戸の上映の後、名古屋に寄る事にしたので、またべコちゃんの家に泊めてもらうことになった。

時間ギリギリまで話して、また名古屋でと言って別れた。まだそれ程遅い時間ではなかった。

宿からも近かったランチを食べた店に飲みに行くことにした。

店のドアを開けると、さっき別れた松本さんが二人の男性と飲んでいた。

「おー来たのか。」と喜んでくれた。

ということで私も一緒にまぜてもらった。

この夜は最高に楽しかった。

いっしょに飲んだこの店の常連さんたち、そしてヤチヨさんが魅力的な人で、すっかり意気投合した。

一人は校長先生を退職した人で、もう一人はワコールにお勤めの人。

とても気分のいい人たちだったので、私もリラックスして言いたいこと言ってアホなこと言って笑っていた。

久しぶりにこの種の楽しみを味わった気がする。閉店まで飲んで、1:30元校長先生と堅い握手をして別れた。

松本さんありがとうございました。 今日もいい一日であった。

明日は香川県から中井信介さんが観に来てくれる。

彼はビデオジャーナリストで2007年の空想の森映画祭でラッシュを見てくれている。緊張するが楽しみだ。

[…]

旅する映画 その29 京都シネマ3日目

2009年7月20日。 7:00過ぎに岸本宅を出る。

岸本君が駅まで送ってくれた。

京都の後、神戸の上映で会おうと言って別れた。

連休最終日。

どれだけお客さんが来るだろうか。 今日は上映後に、静原のカフェ・ミレットに行く予定だ。

ここで上映会をやりたいと言ってくれた大阪・第七芸術劇場で映画を観たレンゲさん、大津で上映会を企画している原田さん、滋賀県の余呉町で映画を観てくれた原田良子さん、木原鮎子さん、木原ちひろささんとご飯を食べながら自主上映会に向けての話をしようということになっている。楽しみでウキウキする。 宿に戻りシャワーを浴びた。

そして朝食を食べ、劇場に向かった。

今日もお客さんは行列をつくっていた。

眞理子さんが3日連続で観に来てくれた。

30人弱のお客さんが入りほっとした。 無事上映が終わると、原田良子さんから電話が入った。

レンゲさんは初めての劇場で迷ったこともあり7分後れて劇場に着き、受付に走った。

途中入場はできないので、金曜日まで上映しているのでその間に観に来てくださいとスタッフに言われた。

事情を詳しく説明したが、どうしても映画を観させてもらえなかった。

それで仕方なくカフェ・ミレットに向かっているとのこと。

中でいっしょに観ていた私はそんなことを知る由もなかった。

ビックリした。確かにチラシにも注意書きで途中入場できませんと書いてある。

しかし、大阪から観にきて迷ったこと、私から連絡をもらい、もう一度スクリーンで観たいということなど説明したが、頑としていれてくれなかったという。

私はすぐにそのことについて支配人と話したかったが、とりあえずカフェ・ミレットへ行って彼女の話を聞き、自分の気持ちをクールダウンしてからにしようと思い直した。

国際会議場の駅まで3,40分ほど電車に乗った。

駅までカフェ・ミレットの隅岡敦史さんが車で迎えにきてくれた。

よく陽に焼けた健康そうな穏やかな青年だった。

彼とひとしきりレンゲさんが入場させてもらえなかった件を話した。

レンゲさんは大阪・七芸で「空想の森」を観たあと、カフェ・ミレットのワークショップに参加し、この場所で「空想の森」を上映したいと思い、隅岡さんに話をして、試写DVDも渡してくれていた。彼もDVDを観て気に入ってくれて、上映会をやってみようという動きになっていた。 駅から車で20分も走ると、のどかな山間の農村の風景に変わった。北海道と違ってそれはとても日本的に感じた。 田んぼや畑の脇の一軒家がカフェ・ミレットだった。玄関を入り靴をぬいであがると、広い居間に大きな木のテーブルがあった。

窓の枠に切り取られた風景は画のようだ。

外は田んぼと山。ゆったりしたいい気分になる。

原田さん一家とレンゲさん、原田良子さん、木原鮎子さん、木原ちひろさんがそろっていた。

再会を喜んだ。隅岡さんは結婚したばかりとのこと。

ここは奥さんの樹里さんの実家で、数年前からカフェを始めたそうだ。

外の窯で隅岡さんが天然酵母のパンを焼き、料理は樹里さんがつくる。

早速みんなでランチとなった。

私もお腹ぺこぺこだった。

かぼちゃの冷製スープ、野菜のオーブン焼きなど、近くでとれた野菜を使ったヘルシーでやさしい味の料理だった。

パンもデザートも全て美味しかった。

また食べに来たい。 「空想の森」つながりの人が、今日ここ静原に集まった。

すごいことだと思う。

みんな初対面だったが、すぐに話しに花が咲いた。

食後もお茶を飲みながら、結構深い話もした。 そして外に出てツリーハウスを見に行った。

畑の脇に少し平らな空間があり、脇に木が立っていた。

そこにツリーハウスがあった。

この空間で10月に隅岡さんと樹里さんの結婚パーティをやるとのこと。

「ここで上映もできたらいいね」。と誰かが言った。

それはいいかもと私も思った。

上映実現のためにこれからやっていきましょうということになり、カフェ・ミレットを後にした。

なんだかとても穏やかで、それでいて濃い時間を過したような気がする。

[…]

旅する映画 その28 京都シネマ2日目

午前中からにぎわう受付前のロビー

2009年7月19日。 9:30を過ぎると、ロビーにはチケットを買う人たちの長蛇の列ができていた。

映画館に人がいっぱいいるだけでウキウキしてくる。

その列の中に、大津の原田将さんと彼の友人3人もいた。

日曜の朝にわざわざ大津から観に来てくれた。

原田さんを中心に、彼らは10月21日、大津の成安造形大学のカフェテリアで「空想の森」上映会を企画し準備している。

東眞理子さんが高校の時の先輩で友人の松原さんといっしょにまた来てくれた。

録音スタッフの岸本君も妻のりよさんとその友人といっしょに観に来てくれた。

舞台挨拶をいっしょにしようと誘ったが今回は遠慮するとのこと。支配人の横地さんに岸本君を紹介した。

そして今日は「空想の森」も50人弱の人で賑わった。

まずまずの客足にほっとした私は岸本君の横に座り、並んで観た。

京都シネマで岸本君といっしょに観られるシアワセをかみしめた。

しかし今日は音量を上げたのか、やけに音が大きく感じた。

明日からもう少し絞るように伝えなくては。 上映後の質疑応答。

横地さんがこのような自主製作映画をもっと上映していくようにしていきたいことと、

劇場での上映から自主上映につながって欲しいということを言った。

嬉しかった。

そして質疑応答。

定時制高校の若い先生が手をあげた。

彼はぜひ自分の高校で上映をしたいと言った。

最高に嬉しかった。

この日の質疑応答はやけに活気があってよかった。 上映後、ロビーで大勢のお客さんに声をかけられた。

岸本君とはまた後で連絡するということであわただしく別れる。

大津の原田さんたち、眞理子さんたちにはロビーで待ってもらった。 大学の教授をしている方、これからチーズをつくって暮らしていきたいと考えている青年が、ぜひ自主上映をやりたいと声をかけてくれた。

それから、甲賀映画祭の実行委員の青年3人が声をかけてくれた。

3月に私が彼らを訪ねた時、一緒に飲んだメンバーだった。

来年の甲賀映画祭でぜひ上映したいと言ってくれた。

わざわざ観に来てくれたのがとても嬉しかった。

定時制高校の先生とも話し、ぜひ上映を実現させましょうということになった。

やはり観てくれたお客さんから直接その言葉を聞くことが何より嬉しく、力が湧く。

お客さんとの話を終え、原田さんたち若者4人と眞理子さんと友人の松永さんとみんな一緒に地下の中華の店にランチに行くことにした。

上映後、まだ話し足りない人がいたら、たいてい私はその人たち全員でランチやお茶に行く。

それが結構おもしろい。

私たちは大きな丸卓を7人で囲みランチセットを注文した。

初対面の人が多いので自己紹介をした。

現在、原田さんを中心に大津で「空想の森」上映会が準備されている。

若者たちはその実行委員会のメンバーで、みんなそれぞれ違った形で原田さんとつながりがあることがわかった。

眞理子さんは、「空想の森」の英語字幕翻訳をした私の友人、山之内悦子さんの友人で、数年前の山形映画祭で悦ちゃんから紹介された。それからの付き合いで、映画が完成する前から協力してくれている人だ。

松永さんは眞理子さんの先輩で、とてもユニークな人だった。年齢差が結構あったが、すぐにみんな打ち解けて話が盛り上がり弾んだ。

これも上映の醍醐味の一つだ。

その後私は岸本君の新居を訪ねることにした。

彼は6月に結婚し新居に越したので「遊びにきてや。」と誘われていたのだ。 この日、眞理子さんが大学生の娘さんを梅田まで車で送ることになっていたので、それに便乗させてもらうことになった。

途中スコールのような激しい雨が降ってきた。

しかも道路は渋滞。

しかし京都市内を抜けるとスムーズに大阪まで流れた。 19:00頃梅田で岸本君と合流し、彼の家の近所のモツ鍋屋へ。

奥さんのりよさん、彼女の友人で今日映画を観に来てくれた南さんと4人で食事をした。

私は大盛況でお客さんの反応もよかった上に、自主上映をやりたい人が3人もいたので気分も高揚していた。

[…]

旅する映画 その27 京都シネマ初日

2009年7月18日。 7:00。起床。

夜はさすがクーラーなしでは寝られなかった。

体調も喉も大丈夫。よかった。

ロビーで無料の朝食をしっかり食べて、身支度を整えた。 今日は初日なので、上映前に画と音のチェックをさせてもらうことにしていた。 9:00前。四条烏丸の京都シネマへ。

COCON烏丸というお洒落なビルの3階にある。

この劇場は3スクリーンある。

シアター2(2番目に大きい90席)のドアの前に「空想の森」のポスターと上映日程・時刻が表示されていた。

受付にはパンフレット・CDが並べられ、テレビ画面には、予告編が流されていた。

なんか妙に嬉しい。 映写担当の方が来て挨拶をし、早速シアター2に入る。スクリーンは小さめだが、スタンダードサイズで、画がきっちりみえてよかった。

音はステレオが少しききすぎの感もあったが、会話もよく聞こえたのでこれでよし。椅子もフカフカだし、冷房の具合も心地よく万事オッケイ。

9:30。横地支配人がやってきてご挨拶をした。

受付にはもう長蛇の列でお客さんが並んでいた。

活気のある劇場で嬉しくなってくる。

「ディア・ドクター」と「築城せよ」が人気らしい。

私は入口ドアの前に立ち、お客さんを迎えた。

その中に東京で見てくれた東眞理子さん、大阪で見てくれたS夫妻、余呉で見てくれた鮎子さんがいた。

みんなそれ以来「空想の森」を応援してくれて、今回の京都上映の宣伝協力をしてくれた。

初日に来てもらいとても嬉しかった。鮎子さんは姉のちひろさんと友人もいっしょだ。

ちひろさんは共働学舎のメンバーに友達がいて新得も訪ねたこともあるので楽しみにしていたとのこと。

20人弱ほどのお客さんが入った。

初日としは少なめかなあ。隣の60席のシアターで上映している「築城せよ」は満員で入れない人が出ていた。

なんとなく肩身の狭い思いになる。

上映前、横地さんの司会で私は少しご挨拶。

上映後、質疑応答でいくつかの質問に答える。

最後にあと6日上映していることと、自主上映の呼びかけをして終わった。

ロビーに出ると、何人かの方にとてもよかったですと言ってもらえてほっとした。

配ったアンケートに熱心に書き込んでいる人が多かった。

無事初日が終わり、待っていてくれた眞理子さんとS夫妻と地下に降りてランチ。

ラーメンを食べた。そして、1階のカフェで引き続きお茶をした。

みんな「空想の森」を2回以上見ているが、今回また違ったことを感じたリ思ったりしたそうだ。

眞理子さんは所要で帰り、私とS夫妻は近くの錦市場をブラブラ歩いた。とても賑わっていた。

ちりめん山椒、お漬物、有次の銅製品など興味をひくものが多い。

大きな通りからちょっと入ったところに、町屋風のお店が並んでいる。

そしてイノダコーヒー本店へ。

前から行ってみたかったところだ。

ここでコーヒーを飲みながらまたおしゃべり。

S夫妻の妻M子さんは所用でのため途中で先に帰った。 私とSさんは、南禅寺水道橋まで散歩がてら白川の水路に沿って歩いた。

Sさんは大学時代、南禅寺の近くに住んでいて、京都の水路がとても好きになったそうだ。

南禅寺の周りは緑が多く、落ちついた気分になる。

寺を通り越し奥に進むと、レンガの水道橋が見えてきた。

風格のある美しいレンガのアーチだった。

明治になったばかりの頃、琵琶湖から京都に水を送るため、その時の最新技術を駆使してつくったそうだ。

アーチの上まで行くと、勢いよく流れている水が見える。

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