2006年8月
「空想の森」便り 第9号
監督 田代陽子
みなさん、こんにちは。
映画「空想の森」は2005年2月に撮影を終え、今年5月頃より、ようやく編集段階に入りました。
パソコンでやっているのですが、これがまた一筋縄ではいかないのです。
機械のやり方を覚えて慣れるまで時間がかかり、機械の不具合の連続でそれを直すのに時間がかかり・・・と四苦八苦しています。
少しづつですが、シーンごとにまとめたものができてきました。
完成までにはもう少し時間がかかりそうですが、途中段階の映像を色んな人に見てもらいながら編集を進めていきたいと思っています。
昨年夏、この映画の登場人物(山田憲一、聡美、山田圭介、西村嘉洋、定岡美和)のやっている新得バンドのメンバーに曲をつくってもらい、豊之進劇場と新内ホールの2ケ所でレコーディングをしました。
それをCDにしてジャケットをこの映画のパンフレットがわりにしようということになりました。
録音部の岸本君が整音をしてCDの方はできました。あとは500枚くらいコピーしてジャケットをつくれば完成という段階です。
CDのタイトルは「空想の森」で、6曲ほど収録して30分くらいです。
現段階でラッシュ上映会が決まっているところをお知らせします。
応援団の皆さんにはぜひ見て頂き、感想やご意見などをお聞きしたいと思っています。
札幌で9月に決まったのですが、お近くの方はぜひ見に来てください。
ビデオなので音もついています。
お知り合いの方などお誘い合わせてご来場ください。
映画「空想の森」札幌ラッシュ上映会 —無料—
日時 2006年9月3日(日) 19:00〜20:30
場所 札幌エルプラザ3階 音楽スタジオ1 *JR札幌駅北口より徒歩3分
住所 札幌市北区北8条西3丁目札幌エルプラザ内
電話 011—728—1222(代表)
*駐車場 エルプラザ北側に立体駐車場(高さ155センチまで)がありますが、1時間300円の料金がかかります。
問い合わせは田代まで 電話/ファックス 0155—24—3638
<田代陽子の撮影日記>
2005年12月1日
共働学舎食堂にて。
宮嶋京子さんのンタビュー撮影。
共働学舎新得農場代表の宮嶋望さんの妻で、私たちの撮影の時はいつも快く受け入れてくれる。
販売用のケーキを焼いたり、学舎の生活面の中心的存在で2年程前にできた交流施設ミンタルの責任者をしている。
多忙な方なので今までゆっくりお話をする機会がなかった。
一度じっくりお話を聞きたいと思っていた。
2005年12月2日
宮下さんの仕事。
とうみがけの撮影。
11月に蕎麦の実を落してふるったものを袋につめて作業小屋においてあった。
それを今度は簡単な機械を使って蕎麦の実だけに選り分けていく。
宮下さんはまず、作業しやすいように使うものをセットしている。
私はいつも思う。
この小屋は作業に合わせて変幻自在に変化する空間だ。
天井の梁といっても少し背伸びすれば届く高さなのだが、この上には色々な道具やものが置かれている。
老眼鏡、テッシュ、などなど。
とうみがけ作業は簡単な機械を使う。
スイッチを入れると扇風機の羽根のようなものがグルグル回って横風をつくる。
上から蕎麦の実を落していくと、軽いゴミは前へ吹き飛ばされて行く。
重みのある蕎麦の実は手前の出口に落ちていく。
使いやすいように形を切りサイズを合わせた段ボールが置かれていて、そこに落ちてくる蕎麦の実がたまっていく。
その実をまた機械に入れてさらにゴミを飛ばす。
そしてまた3回目の機械にかける。
3回目は実が落ちてくる段ボールの前に座り、蕎麦の実に混じって落ちてくるてんとう虫やさなぎなどを見つけてはつまみ出していく。
一つの袋につき3回機械を通すので、時間と手間がかかる。
こうやって丁寧にきれいにしたものを業者に渡し、そば粉にして乾麺をつくるのだ。
そして、ひと袋200円くらいで販売する。
雪がちらついてきた。
気温もぐっと低くなって寒くなってきた。
暗くなっても明かりをつけて黙々と作業を続けていた。
2005年12月28日
共働学舎もちつきの撮影。
朝、まず食堂へ。
ちょうどみんな朝食が終わった頃。
望さんは桜井さんに肩をもまれながら、そこにいるみんなに軽やかに話をしていた。
「伊藤君と対談して学舎の本質をえぐり出したいんだ。」と。
伊藤さんも自分の体験した不思議なことを話したりしていた。
伊藤さんと望さんの対談を記録してそれをまとめて冊子をつくらないかなどと吉田あゆみちゃんに話したりしている。
厨房では佳子さん、池田のおばさん、まゆこちゃんなどがわらわらと掃除をしながら餅米をふかしている。
食堂の前に臼ときねがセッティングされた。
もうすぐ出かけなくてはいけない望さんがあいのてでもちを返す人、伊藤さんがつく人でもちつきが始まった。
途中ともひろ君が乱入。
伊藤さんとチェンジ。
すごい力で実に嬉しそうにもちをつく。
望さんが声をかけリズムをとりながらもちを返し、順調についていくと思いきや、突然途中で止まったりするともひろ君。
「タイミングずれてこえー」と笑いながらもちつきは続く。
つきあがったもちは食堂へ運ばれ、女性陣がのばしてゆく。
厨房では聡美さん、まきちゃん、あゆみちゃんなどが、あんこや大根おろしや納豆の用意をしている。
加藤家の子供たち3人、竹田家の子供たち3人、宮嶋家の3男ゆうき君が面倒をみながら先にお餅を食べている。
あかりは加藤家の長女のさやの膝に抱かれて、おもちを食べさせてもらっている。
外は曇ってきて寒くなってきた。
聡美さん、あゆみちゃんも外に出てもちをつく。
聡美さんは一番重い杵でつく。
いつも身体を使って仕事をしているので力がある。
圧巻だったのは愛三君だ。
大きな体で杵を軽々と振り上げそしてドスドスとついていく。
見ているギャラリーも盛り上がる。
気持ちいいくらいにどんどんもちがつきあがっていく。
雪もちらつきはじめ、一段と寒くなってきた。
子供たちは元気にソリ遊びをしたり、もちをついたり大いに楽しんでいる。
大人たちはあったかい缶コーヒーやお酒を呑んだりして体を暖めながらもちつきは続いた。
2006年1月10日
新内周辺の風景撮影。
昨日まで天気が悪く、今日から回復していく感じだった。
そして今晩は満月の日。
宮下さんの家周辺にて撮影。
空を見上げると飛行機雲がつくられていく。
夕方、上佐幌の高台の方へ上がっていくと、そこは幻想的な風景が広がっていた。
雪原は霧に包まれていた。
遠くの日高山脈の方に太陽が沈みかけていて、夕日が紅く山々を染めていた。
陽が当たっていないサホロ岳の方は蒼白く水墨画のように見えた。
そこでしばらく刻々と変わっていく風景をみながら撮影。
月が出てくるまでジッと待った。まんまるの少しだいだい色をした月が出た。
上佐幌からと新内におりていって撮影をする。
満月は明るい。
雪原に防風林の影が映る。
かじかむ手をこすりながらファインダーの満月を見いつまでも見ていた。
2006年1月13日
山田家にて。聡美と憲一さんインタビュー撮影。
この一年、山田家はどう暮らしていくのかを色々考えた年であった。
自分たちの農場をつくっていきたいと独立をしようと考えたりした。
今の時点での聡美さんと憲一さんの思ってることを聞いてみた。
2006年1月18日
共働学舎工芸室にて。
加藤佳子さんの仕事の撮影。
佳子さんは本来工芸の仕事をする人だ。
野菜部に人出がなくて手伝っているうちに重要メンバーになってしまい、野菜の仕事がある間はほとんど工芸ができなかったのだそうだ。
飼っている羊の毛を刈って、毛糸にして帽子をつくったり、フェルトにしてマットをつくったり、とうもろこしの皮で人形をつくったりしている。
この日はとうもろこし人形づくり。
とうもろこしの皮を集めて大きさを分けて乾燥させ、それを人形の芯に何枚も重ねて人形をつくっていく。
手間と根気のいる仕事だ。
つくりながら、なぜ学舎に来たのか、人形をつくることは自分にとってどういうことなのかなど話してくれた。
いつも大勢の中で仕事をする佳子さんしか見たことなかったが、この日はつかの間一人静かに人形に向き合う佳子さんがいた。
午後、食堂でフェルトマットづくりの撮影。
いつものようににぎやかな中に佳子さんがいる。
杏奈、聡美さん、池ちゃん、あゆみちゃん、ラモーナ、まきちゃんなどが参加して、それぞれ思い思いにフェルトマットをつくっていた。
できあがったものはミンタルで販売する。
2006年1月20日
宮下さんのインタビュー撮影。
なんで農業をやろうと思ったのかなどを聞く。
宮下さんとは撮影をしながら、またはいっしょに飲む時にこれまで色々と話してきた。
改まって話を撮影するのは初めてだ。
2006年1月30日
新内移動撮影。
車を走らせながら風景撮り。
今年は雪が少ない。
道路は地面が見えている。
2006年2月5日
新内移動撮影。
車を走らせながら風景撮り。
途中ちらちら雪が降ってきたりした。
これで撮りたいと思った全ての事柄を撮影した。
クランクアップを決めた。
夜、一人ささやかに撮影終了を祝う。
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