映画「空想の森」便り 第2号 2002年11月 監督:田代陽子
10月3日〜13日の約10日間、空想の森映画祭以来、4ヶ月ぶりの撮影をしました。
この間、撮影をするための様々な準備をしてきました。
撮影していない時はどんな準備をするのか少し書いてみます。
【何を撮影するのかを決める】
前回のラッシュ(撮影した映像)を見て今まで撮ってきたもの、登場人物たちの今の状況などを考え合わせ、次に何を撮っていくのかを決めます。
これは主に監督の私の仕事であります。前回の空想の森便り1号で書いたように、私は主な登場人物のうちの二人が働いている新得共働学舎でいっしょに働きながら、次にどういうところを撮影していこうか考えていました。
そして今回は、じっくり一人の人に寄り添った撮影をしようと決めました。
今までの撮影で、あの人もこれもと盛り沢山の撮影をしてよかったところもありますが、じっくり落ち着いてものをみられなかったという反省もあったからです。
それで今回は、共働学舎の野菜の責任者になって2シーズン目、結婚して半年になる山田聡美さんの仕事と暮らしを撮らせてもらおうと決めました。
【製作資金をつくる】
映画『空想の森』はスポンサーがいない自主製作映画です。
すなわち製作資金は自分たちでつくらなければなりません。
映画『空想の森』をつくっているんです、「こんな映画をるくろうとしています。」と、
多くの人たちにまず知ってもらうことが大事なことです。
そして、こういう映画をつくりたいので製作協力金をお願いしますという旨の手紙を色々な人に出したり、映画『闇を掘る』の上映会の時に『空想の森』のラッシュを上映し、その映像を見てもらい、協力をお願いして資金を集めたりしています。
今現在、30人もの人たちから製作協力金をいただきました。
まだできていない映画にお金をだしていただき、これからもがんばろうと身が引き締まります。
【撮影機材をそろえてチェック】
映画の機材はキャメラ、三脚、ライト、ダット、マイク、ミキサーなど、色々あります。
どれも、たいがい大きくて重たいです。
私たちはほとんどの機材を会社や個人の方からお借りしています。
これらの機材をお借りしてきて、まずは正常に動くかどうか確認します。
撮影、撮影助手、録音など、それぞれのスタッフが自分の使う機材をチェックします。
ちなみに私はメカニックのことは苦手なので、基本的なことしかわかりません。
キャメラ
フランス製のエクレ−ルという16ミリのキャメラを借りています。
前回の撮影で故障したところを修理に出していました。
もどってきたらまず、きちんとキャメラが動くかどうかカメラテストをします。
1秒間に24コマきちんと動くか、ズームレンズの引きボケはないかなど、実際にフィルムで撮影して現像に出し、上がってきた画を見てチェックします。
現像所は東京にあるので、撮影したものが見られるのに時間がかかります。
音
画と音は別々に撮ります。
ゼンハイザーという高性能のマイクで音を拾い、ダットのテープに録音します。
離れたところからも録音ができるように、ブームという竿のようなものにマイクをくっつけたりもします。
後でこのダットから、シネテープに音を起し、画と音を合わせていきます。
照明
室内や夜の撮影では、ライトを使います。機動性のよいバッテリーライトなどをよく使います。
ビカビカに光が当たって見え過ぎるのも気持ちの悪いものだし、かといってよく見えないのも具合が悪いし、自然な感じの光にするのは難しいものです。
今回の撮影でもライティングに結構時間がかかりました。
どのようにライティングするか、これからも試行錯誤でよりよい光りをつくっていきたいです。
光と影は映画の最大の魅力ですから。
●田代陽子の撮影日記●
2002年10月3日〜13日 […]